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部落解放同盟ガイド

決議・宣言

部落解放同盟第74回全国大会宣言

 本年は憲法施行から70年である。世界各地では、いまだに宗教や民族などでの対立による紛争が続き、テロが起こり、多くの尊いいのちが奪われている今日、平和主義、基本的人権の尊重、主権在民という憲法の精神は、世界の平和実現に向けて、ますます大きな役割を果たすものになっている。しかし、安倍政権は、各地での反対運動の大きな盛り上がりにもかかわらず、「特定秘密保護法」や「戦争法」を成立させ、沖縄・辺野古での新基地建設の強行や「共謀罪」の新設など、憲法改悪と「戦争をする国」づくりをすすめている。
  昨年11月には、自衛隊が南スーダンに派兵された。派兵された自衛隊には、「駆けつけ警護」「宿営地の共同防護」の新たな任務が付与され、アメリカ軍などとともに、戦争行為に加担することが可能となり、まさに憲法改悪を先取りするものとなっている。われわれは、こうした憲法破壊の策動を許すことなく、総がかり行動による「戦争法」廃止や沖縄の新基地建設強行、「共謀罪」反対などの闘いに全力でとりくんでいかなければならない。
  安倍政権のもとで、格差・貧困の問題はますます深刻化している。しかもヘイトスピーチのように、公然と差別と暴力を扇動する差別排外主義が台頭し、反人権主義、国権主義の政治が推しすすめられている。われわれは、こうした戦争に向かういっさいの策動と対決し、差別と戦争に反対し、格差・貧困の克服をめざして社会連帯を実現する部落解放運動の強化を誓い合おう。
  昨年12月には、「部落差別解消推進法」が成立、施行された。われわれは、人権と平和をめぐるきびしい情勢のなかでも、部落解放・人権政策確立に向けた中央実行委員会-都府県実行委員会のとりくみを果敢に積み上げ、きびしい部落差別の実態を明らかにしてきた。「部落差別解消推進法」は、部落差別を社会悪として、部落差別を許さない社会づくりをめざすことを目的にしている。部落解放行政の推進に向けて、「部落差別解消推進法」を積極的に活用し、あらためて部落問題の解決への行政責任を明確にさせよう。さらに、われわれ自身が地域での要求の組織化をすすめ、行政闘争の強化をすすめなければならない。また、戸籍等大量個人情報不正取得事件や土地問い合わせ差別事件をはじめ、インターネット上での差別情報の氾濫、ヘイトスピーチをはじめ、鳥取ループ・示現舎などのような確信犯的な差別事件が続発している。われわれは、差別糾弾闘争を断固として闘い抜き、裁判闘争では差別の実態を広く訴え、社会変革に向けたとりくみをすすめ、徹底的に勝利しよう。差別排外主義が横行し、社会的マイノリティにたいする差別が公然とおこなわれている社会的情況にあって、個別課題の人権法の積極面や課題を共有化し、包括的な人権の法制度の確立、とくに人権侵害救済制度の創設をめざすことは急務の課題である。
  半世紀以上におよぶ狭山の闘いは、いよいよ正念場を迎えている。今年こそ、再審を実現し、石川一雄さんの無罪をかちとろう。映画上映やパネル展、DVDを活用した学習会などとりくみを大きく拡げるとともに、検察の証拠隠しを許さず、証拠開示と事実調べを実現するために闘いを強化しよう。さらに「人権のまちづくり」運動の推進や「人権教育・啓発推進法」を活用し、同和・人権教育や部落問題解決に向けた行政施策の推進、反差別国際連帯活動など、今日的な部落解放運動の課題にもとりくんでいかなければならない。さらに、東日本大震災や熊本地震など、各地の復興に向けて継続した支援活動を強化しよう。
  今日、荒廃し、閉塞化する現代社会のなかで、いっさいの差別排外主義を許さず、社会連帯をめざす協働・連帯の闘いを前進させていくのは、われわれの使命だ。そのためにも、組織強化と人材育成のとりくみなど、部落解放を成し遂げる組織と運動の再生をかちとろう。
  今こそ、あらゆる差別からの解放をめざし、差別と戦争に反対する闘いの先頭に荊冠旗を打ち立てよう。泥のような絶望の時代を切断し、部落解放-人間解放に向けた崇高な使命を自覚し、「よき日」に向けてともに奮闘しよう。

 以上 宣言する。

2017年3月3日
                          部落解放同盟第74回全国大会

 

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