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差別と戦争に反対する部落解放運動を大きく前進させ、2015年を反転攻勢の年にしよう

「解放新聞」(2015.01.12-2698)

 新しい年をむかえた。今年は、敗戦後70年である。差別と戦争に反対するわれわれの闘いを大きく前進させ、人権と平和の確立に向けた協働のとりくみを強化するために奮闘することを誓い合いたい。
  昨年末の総選挙の結果、第3次安倍政権が発足した。われわれは、推薦候補の必勝に向けて、全力をあげた闘いをすすめてきたが、自民党はほぼ解散前の議席を維持し、政治情況を大きく変えることはできなかった。しかし、われわれは、この選挙戦を通じて、人権と平和の確立をめざしたとりくみを推進する政治勢力の復権に向けて一歩前進をかちとった。地域の活動を基盤に、さらに人権の課題、平和の課題とともに、いのちと生活を守るとりくみをすすめ、政治の変革を地域のなかから創り出そう。

 安倍政権は、衆議院総選挙で、300近い議席を維持したことから、今後、憲法改悪の策動を強めることは必至である。しかし、安倍政権の支持率を支えている景気回復策であるアベノミクスは、すでに破綻している。円安による物価上昇、消費税8%の増税などで、実質賃金は17か月も連続して減少し、リーマンショックいらいの減少幅となっている。アベノミクスは、富裕層をより豊かにしたものの、格差社会の深刻な実態は放置されたままだ。しかも、非正規労働者は増大するいっぽうで、将来に希望を見出せない若者たちの不安や不満は、ヘイトスピーチのような差別排外主義と安易に結びついている。
  さらに、安倍政権は「特定秘密保護法を施行し、集団的自衛権行使を容認した閣議決定による「自衛隊法」改定など、「戦争のできる国」づくりを強権的にすすめようとしている。敗戦後から70年、部落解放運動は、一貫して差別と戦争に反対する闘いをすすめてきた。われわれは、いまこそ安倍政権の戦争推進政策に真っ向から反対し、部落差別撤廃と人権の確立、平和と民主主義を守る協働の闘いの先頭で奮闘しなければならない。


 反人権主義、国権主義の政治をすすめる安倍政権のもとで、人権や平和の課題は大きく後退させられてきた。しかし、昨年末、部落解放・人権政策確立の闘いの前進に向けて、中央実行委員会第12回総会を開催し、この間の闘いの総括と今後のとりくみ方向と課題を明らかにした。また、高野山真言宗管長が新会長に就任し、あらたな役員体制で今後の闘いをすすめることが決まった。今年も、中央集会―政府交渉を軸に、とりくみを前進させていこう。
狭山の闘いも、弁護団の精力的なとりくみと、3者協議の積み上げのなかで不十分ながら証拠開示がすすみ、石川一雄さんの無実を明らかにする新証拠が提出されてきた。われわれは、石川さんの無実を広く訴えるとりくみを全力ですすめ、今年こそ、狭山勝利の年にしよう。
  こうした闘いに勝利するためには、何よりも組織と運動の強化、人材育成が大きな課題である。差別糾弾闘争の強化、同和・人権行政の推進、人権のまちづくり運動や男女平等社会に向けたとりくみなど、具体的な実践をとおして、部落解放運動を前進させていこう。
  本年は、部落問題の解決は国の責務であり、国民的課題であるとした「同和対策審議会答申」から50年の大きな節目の年でもある。今後の同和行政、人権行政の方向を明らかにするためにも、成果と課題をしっかりと総括することも重要だ。また、4月には、統一自治体選挙がある。政治情況の変革をめざして、自治体選挙に全力をあげよう。
  さらに、「全国水平社創立宣言」の世界記憶遺産登録は、本年9月に国内での選考が決定する。全国各地で登録に向けた運動を展開していきたい。
  闘いの課題は山積している。厳しい情勢のなかで、部落差別撤廃に向けて、統一と団結を強め、反転攻勢の闘いで、部落解放運動を大きく前進させよう。


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