pagetop
NEWS & 主張
主張

 

歴史を歪曲した教科書採択を許さないとりくみを

「解放新聞」(2015.07.06-2721)

 今年は、第2次世界大戦終結から70年をむかえる節目の年であり、過去の侵賂戦争を反省し、平和な未来の建設に向けて努力することをあらためて誓うべき年である。
  とりわけ、日本では、敗戦後の復興から今日にいたる歩みとともに、憲法がはたしてきた役割を十二分すぎるほどに噛みしめることが求められている。
  アジアの近隣諸国をはじめとする世界に向けて、不戦と恒久平和を希求することを誓った日本国憲法の礎なくして、世界各国からの信用と信頼の回復はなかっただろう。
  未来に向けて、過去の歴史に目を背けることなく、世界に約束したこの道を実直に歩み続けることこそが、日本にとって最善の道ではないのか。
  過去と現在、そして未来を切り離して考えることは、到底不可能である。ましてや、自己の正当化と権力の保持のために、過去の歴史に目を背け、改ざんすることなど、手を出してはいけない「禁じ手」であり、言語に絶する悲哀を人類に与えた戦争の惨害からの決別を誓った「世界人権宣言」に到達した今日の国際社会で、けっして許されざる行為である。
  しかしながら、いま、安倍政権が暴走し、さまざまな場所、機会を通じて日本に迫り来る危機があると煽りながら、「戦争をする国づくり」に向けた準備をなりふりかまわず強行しようとしている。
  憲法や立憲主義を根底から否定する言動や、市民の生存権保障に直結するセーフティネットにたいする攻撃をくり返し、それを無批判に増幅してくり返し宣伝するメディアの後押しによって、市民社会に分断がもち込まれ、平和憲法の空洞化と破壊に向けた策動と、市民生活を脅かす制度改悪が一挙におしすすめられようとしている。
  戦後70年をかけて築いてきた平和な未来につながる道が、戦争につながる道へと大きく歪められようとしている。こうした事態こそ、まさに日本の市民社会に迫り来る危機である。政治の暴走を押しとどめ、主権者である私たちの手に政治をとりもどす闘いを、いっそう強固なものにしよう。



 しかしながら、いま、安倍政権が暴走し、さまざまな場所、機会を通じて日本に迫り来る危機があると煽りながら、「戦争をする国づくり」に向けた準備をなりふりかまわず強行しようとしている。
  憲法や立憲主義を根底から否定する言動や、市民の生存権保障に直結するセーフティネットにたいする攻撃をくり返し、それを無批判に増幅してくり返し宣伝するメディアの後押しによって、市民社会に分断がもち込まれ、平和憲法の空洞化と破壊に向けた策動と、市民生活を脅かす制度改悪が一挙におしすすめられようとしている。
  戦後70年をかけて築いてきた平和な未来につながる道が、戦争につながる道へと大きく歪められようとしている。こうした事態こそ、まさに日本の市民社会に迫り来る危機である。政治の暴走を押しとどめ、主権者である私たちの手に政治をとりもどす闘いを、いっそう強固なものにしよう。


 そして、いま、子どもたちの教育が危機にさらされようとしている。公立小中学校で使用する教科書は、原則として4年ごとに決めるとされており、来年度から使用する教科書の採択が、今夏におこなわれる。
  そこで、「戦争をする国づくり」をめざす安倍政権は、教科書検定基準を変更し、教科書から政府見解にそわない記述を徹底的に排除するとともに、政権の歴史認識や政策に忠実な内容をとりいれたお手盛りの「中学校用歴史・公民教科書」の採択に向けて、露骨な政治的なとりくみを展開している。
  「育鵬社」や「自由社」の「歴史・公民」教科書では、過去の侵略戦争と植民地政策を正当化したり、戦争を感動的に描き賛美する一万、日本にとって不都合な史実については「通説はない」と否定したり、言及をさけるなど、歴史を歪曲した記述となっている。
  また、「天皇」にかかわる説明や、「改憲」の必要性、国民の義務などを過度に強調する一方で、差別や人権に関する記載は少なく、基本的人権の尊重や社会の多様性を軽視し、国家への帰属を強く求めるなど、憲法の精神や多文化共生の理念に反する内容も散見される。
  戦争は最大の差別であり、人権侵害である。戦争のない国際社会の構築が人類の課題であり、教科書は、戦争を美化することなく、平和への希望をつなぐものでなければならない。
  自国に誇りをもつことばかりに力を注ぎ、近隣諸国への配慮や他国の人びとの歴史や文化を尊重する視点に欠けた教科書では、多様性や人権を尊重し、国際社会で適用する民主社会の主権者を育てることはできない。

 人権、平和、環境に反し、子どもたちを危険な方向へと導き、「戦争をする国」を支える教育のために嘘で塗り固めた教科書を、子どもたちに手渡すわけにはいかない。
  現在、採択の対象となる教科書見本の法定展示が各地の教科書センターで実施され、保護者をはじめ住民の意見をうけつけている。必ず、地元の展示会場に出向き、歴史を歪曲し戦争を賛美する教科書に反対し、採択を許さない意思表示をおこなおう。
  戦争に反対し、平和を希求する市民の力を結集し、危険な教科書であることを広く訴え、採択阻止に向けた集中したとりくみをおこなおう。
  いまこそ、憲法と民主的教育を守り抜き、平和と民主主義、基本的人権が尊重される社会の創造と発展に向けて、各地のとりくみを強化しよう。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)