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「人権と福祉のまちづくり」実現に向け地域福祉運動にとりくもう

「解放新聞」(2015.09.14-2730)

 生活・福祉にかかわる施策をめぐる厳しい状況をふまえ、「自助」「共助」「公助」の理念を最大限に生かしたとりくみをすすめることが必要だ。これまで、「人権のまちづくり運動を各地から創り出していくとりくみがおこなわれ、各都府県でそれぞれ特色をもった人権のまちづくり運動がすすんできた。国や自治体の福祉政策など一般施策を活用しているところや、ほかのNPOと連携した協働のとりくみをしているところ、自分たちで社会福祉法人などを立ち上げて事業を展開しているところなどがある。さらに今年4月から施行された「生活困窮者自立支援法」の積極面を活用したとりくみをすすめることも重要だ。
  また、「人権課題の解決に資する」ことを設置運営目的とした隣保館のはたす役割を明確に、人権のまちづくり運動の中心として、「外にひらかれた」拠点施設として有効に活用しながら、部落を「核」とした人と地域の活性化にとりくんでいるところなどさまざまだ。
  「人権と福祉」の拠点施設としての隣保館活動を強化するためにも、全国隣保館連絡協議会(全隣協)などと連携を強めながら、隣保館を軸にした部落の実態把握のとりくみをすすめていくことが、求められている。
  先月の8月1、2日と大阪で部落解放第22回中央福祉学校をひらいた。14府県連から91人が参加し、生活困窮者自立支援法の活用に向けた課題、障害者差別解消法の内容、認知症問題などについての学習会をおこなった。

 少子高齢化時代をむかえた今日、高齢者や障害者、ひとり親家庭、子どもたちが地域のなかで安心して暮らしていけるまちづくり運動にとりくむことが必要であり、「自分たちのまちを自分たちで創造していく」ことが大切だ。また、介護・福祉サービス、ヘルパー資格取得のとりくみなど、雇用創出や人材育成のとりくみともあわせて、1人ひとりの「生きがい」、「社会参画」を実現する支援施策の充実に向けてとりくんでいかなければならない。
  そのためにも、必要なサービスや自立支援の施策を行政に求める闘いを強化するとともに、「地域福祉計画」の具体化に向けて、社会的支援を必要とする人たちが排除されることのない地域福祉運動を、自治体議員や部落内外の協働の力でとりくむことが必要だ。
  また、千葉県、北海道、岩手県、さいたま市、熊本県、八王子市、長崎県、別府市、沖縄県、京都府、奈良県の8道府県3市で「障害者差別禁止条例」が制定されている。今後も「障害者差別解消法」成立後の動向や「障害者権利条約」など、福祉や生活に関連した先進的な条約や法律に学びつつ、生活・福祉関係の共闘運動をすすめていかなければならない。

 昨年10月、中央生活福祉運動部ではブロック別交流会をひらいた。関東ブロックでは、同盟員の厳しい生活実態が報告され、雇用促進のためハローワークとの連携や地域人権啓発リーダーの育成、相談員の資質を高め、生活人権相談で実績を積み上げていることが報告された。近畿・東海ブロックでは、隣保館の指定管理者制度への移行がすすめられるなか、隣保館のモデル事業として生活困窮者自立支援や相談力を高めるとりくみなどが報告された。中・四国ブロックからは、情報の共有をはじめ相談内容の多様化に対応する相談力の強化や、隣保館を生活困窮者自立支援の拠点として活動をすすめていく一方で、隣保館で部落問題が欠落していることが課題としてあげられた。九州ブロックでは、高齢者の安否確認をするとりくみが報告された。
  こうしたブロック別交流会でだされた課題や問題点について、さらに情報、とりくみ内容の共有化をはかっていきたい。また、昨年に実施した生活福祉運動部アンケート集約を中央福祉学校で配布している。参考にしたとりくみなどがあれば、各都府県連で交流をおこなってほしい。
  今後とも、各都府県連のさまざまなとりくみをよりいっそう強め、「人権と福祉のまちづくり」実現のために、「地域福祉計画」に隣保館の役割など、部落問題の解決の視点を位置づけさせ、福祉や医療制度を充実させていくとりくみをすすめていこう。


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