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部落解放共闘第33回全国交流会に結集し、共闘運動を前進させよう

「解放新聞」(2016.11.07-2785)

 部落解放共闘第33回全国交流会・部落解放地方共闘全国連絡会議第33回総会が11月29、30日、大分市で開催される。今年は、部落解放中央共闘会議(以下「中央共闘」)の結成(1975年12月)から41年、部落解放地方共闘全国連絡会議結成(1977年10月)から39周年をむかえる。
  「戦争法」の強行採決―あの歴史的暴挙から1年が経過した。安倍政権の暴走は加速度を増し、私たちはいま、戦後最大の平和と民主主義の危機に直面している。
  安倍政権は姑息にも参議院選挙での争点化を避けるため、南スーダンPKOでの駆け付け警護などの任務付与を先送りした。同様に、海外での日米共同作戦に対応できるよう米軍と自衛隊が物資などを融通しあう日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定案の国会提出も先送りしたのである。
  参議院選挙が終了すると自衛隊の活動を一挙に拡大しよううともくろんでいる。南スーダンでは政府軍と反政府軍の戦闘が激化し、自衛隊の宿営地内でも流れ弾による弾痕が確認されている情況にあるなかで、駆け付け警護や宿営地共同警護のための実戦的な訓練がはじまっている。そして、臨時国会(9月26日開会)ではACSAの改定が決まり、昨年の「戦争法」成立をふまえ、米軍への「後方支援」を大幅に拡充した。
  10月18日、沖縄・東村高江にある米軍北部訓練場周辺で、警備活動中の機動隊員が、米軍へリパッド建設に反対するため抗議する市民にたいし「触るなクソ、どこつかんどんじゃボケ、土人が」と差別発言。さらには別の機動隊員も市民にたいして「黙れ、こら、シナ人」と発言したことも明らかとなった。「米軍基地の撤去」を強く望む沖縄県民を冒とくしていることにほかならず、人権をないがしろにする警察権力にたいして、断固抗議するものである。
  この間、「戦争法」の廃止を求める声は、1580万筆という署名を集めることができた。平和主義・立憲主義・民主主義の回復を求めて、いまも広範な市民が集まり、「戦争法」廃止の声をあげている。人権、平和を守るため、「戦争法」廃止をめざし、すべての市民と共同した闘いにとりくまなければならない。

 安倍政権は、国民の安全と平和を破壊する「戦争法」だけでなく、国民生活の基盤である労働分野でも暴走を続けている。2015年の通常国会で、世界一企業が活動しやすい国をめざすとして、多くの国民の反対の声を押し切り、労働法制を大改悪した。
  1つめは、生涯派遣が続き、正社員ゼロをもたらす労働者派遣法の改悪だ。この改悪は、従来の「1~3年の業務単位の期間制限」をなくし、派遣先が労働者を期間の制限なく永続的に利用できるようにした。「業務単位の期間制限違反の場合の労働契約申込みみなし制度」を廃止し、多数の派遣労働者から直接雇用と正社員への道を閉ざし、さらには、均等待遇原則を認めず、派遣労働者の劣悪な労働条件を容認したのである。2012年の派遣法改定のさいに導入され、10月から施行された「直接雇用申し込みみなし制度(違法派遣の場合に派遣先への直接雇用を義務づける制度)」がほとんど機能しなくなる恐れがあり、派遣先の企業がその気になれば3年といわず、ずっと派遣労働者を使い続けられる情況になるのだ。企業が自社の正社員を派遣労働者に置き換える動きをますます強めることがおおいに予想される。
  2014年の政府調査では、日本の非正規労働者は2000万人をこえ、全労働者の4割近くを占めている。「本当は正社員として働きたいのに、(使い回されて)派遣という働き方から抜けられない」労働者も多数存在する。このような情況で、低賃金で不安定雇用の非正規労働者を増加させる労働者派遣法の改悪を断じて許してはならない。
  2つめに、過労死を激増させ、残業代ゼロを強要する労働基準法などの大改悪をもくろんでいる。この改悪案である「高度プロフェッショナル制度」は、特定の専門職種に労働時間規制を一切なくし、残業代や深夜割増賞金の不払い合法化するものだ。対象を「高度の専門的知識等を必要等」と定めているが、その概念はあいまいで、対象業務の範囲が広範囲になる危険性をはらんでいる。また、対象労働者は「年間平均給与額の3倍を上回る」とされているが、日本経団連は、「年収400万円以上」と提言しており、その対象や職種、年収などの拡大解釈が予想される。
  いま、日本では、毎年100人をこえる人が過労死で亡くなっている。政府がなすべきことは「残業代ゼロ」制度をつくり出すことではなく、長時間労働を抑制し、「過労死ゼロ」を実現するための制度づくりである。
  3つめに、お金で労働者のクビを切る「解雇の金銭解決制度」を導入しようとしている。安倍政権は、2015年6月の閣議で、「労使双方が納得する雇用終了のあり方」として、「解雇の金銭解決制度」を決定した。この制度は、裁判で解雇無効の判決がだされても、お金さえ払えば労働者を企業から追い出すことを可能とする制度で、解雇規制を根底からくつがえすものだ。たとえば、企業にとって好ましくない労働者を恣意的に排除することができる。労働組合潰しのために利用され、その結果、労働者が企業に意見をのべることが困難となり、雇用と労働条件が悪化することは、火を見るよりも明らかだ。
  低所得で不安定な非正規雇用が一気に拡大し、年収200万円以下の「働く貧困層」が1139万人(2014年)になったいま、即刻に、「解雇の金銭解決制度」の検討をやめ、解雇現制を強化することが先決だ。

 部落差別は、歴史的に差別分断支配に利用され、民衆の不安や不満のはけ口にされてきた。そして現在、多くの市民の貧困化が拡大するなかで、差別煽動など悪質な差別事件が増加し、被差別者がスケープゴートとされる傾向になっている。このような情況をふまえ、差別撤廃と人権擁護のとりくみを強化しなければならない。
  この間、中央共闘と連携し、各府県共闘のとりくみによって、各府県共闘への地方連合の参加は24府県となった。戦争法の廃止、部落解放・人権政策確立のとりくみ、狭山再審闘争、就職・雇用での差別撤廃と公正なワークルール確立など、私たちがとりくむべき課題は、喫緊であり山積している。これらの課題克服のため、すべての市民と連帯し、幅広く力強い共闘体制をつくり、地域・職場にしっかりと根を張った運動をつくっていこう。そして、部落解放共闘第33回全国交流会・部落解放地方共闘全国連絡会議第33回総会に、積極的に結集し、交流会でえた成果を各地で生かし、全国各地で部落解放共闘運動を前進させ、人権確立社会の実現にとりくもう。


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