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NEWS & 主張

多様な運動の形態探る~中馬街道テーマに地元報告も
愛知で第23回全国部落史研究大会

「解放新聞」(2017.08.14-2823)

 第23回全国部落史研究大会が7月29、30日に名古屋市の真宗大谷派名古屋別院の東別院会館でひらかれ、90人が参加。大会前には研究会の第10回総会もひらかれ、活動方針を決定し、新役員が選出された。

 1日目は、開会行事後に前近代史と近現代史の2つの分科会がおこなわれた。前近代史分科会は「中世から近世への移行期における被差別民衆をテーマに「近世三河の非人」を藤井寿一さん(全国部落史研究会)が、「中世・近世移行期の越後の渡しと渡し守」を西澤睦郎さん(新潟県立十日町高等学校定時制)が報告。近現代史分科会では、「戦後の部落解放運動をめぐる諸問題-多様な組織とその意義」をテーマに「三重県厚生会と戦後の同和行政・解放運動」を黒川みどりさん(静岡大学)が、「北原泰作と岐阜県民主同和促進協議会」を手島一雄さん(立命館大学)が報告した。

 2日目では、全体講演として地元から「塩の道(中馬街道)と被差別部落-三河地方を中心に-」を伊藤卓夫さん(津島市人権教育推進協議会)が報告。大会終了後にはフィールドワーク「愛知県水平社ゆかりの地をめぐる」もとりくまれた。

近現代の官民運動にも注目

 前近代史分科会では、分科会テーマについて、京都では1668(寛文8)年ごろに岡崎村悲田院の支配を離れるなど「中世非人」の核であった「らい者」が「非人頭(長吏)の支配」を離れるなどの変化があったとのべ、移行期に焦点をあてた報告を求めた。藤井さんは戦国期の三河での非人の存在形態の把握が残された課題だとのべた。西澤さんは、1677(延宝5)年に越後髙田城主の松平光長は「領内の「家改」を指令」、「帳面の末尾に茶屋(遊女)・恵比須(大黒舞いなどの非人)・渡し守、穢多らを書き入れよ」と命じた。越後における「穢多」の呼称の展開がここからはじまる、とまとめた。

 近現代史分科会では渡辺俊雄さんが、一昨年から「高度成長期における部落問題」の解明を共通の問題意識としてテーマに設定し、部落問題にとりくんだ組織は多様だったことを明らかにしてきたと説明。報告では部落解放同盟とは距離をおいた運動形態として、黒川さんが三重県の「厚生会」運動を、手島さんは「岐阜県民主同和促進協議会」の運動を報告し、官民の運動として行政との強い関係があったことを指摘した。

 全体講演をおこなった伊藤さんは、三河湾沿岸の製塩産業を背景に独占物として各地に送られる塩を運ぶ道・中馬街道で運搬にかかわった馬は「中馬」とよばれ、近隣の馬が調達された。一駄28貫の塩俵を4つ背に乗せ運ぶ過程での斃馬の処理に被差別民がかかわった。馬の捨て場には馬頭観音が残るとのべた。フィールドワークでは愛知県水平社創立に先立ち差別撤廃講演会がひらかれた平野町の説教所(真宗高田派、現在の正信寺)や、と場跡、環境改善で建てられた住宅をまわった。

 総会では、代表に寺木伸明さん(桃山学院大学名誉教授)を、事務局長に竹森健二郎さん(福岡史編纂委員会)を選出した。

 

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