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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2077号/02.07.15

民族幻想論
あいまいな民族 つくられた人種

スチュアートヘンリ 著 解放出版社 定価2000円+税

書籍画像 「たかがテレビ。自宅で観れば」と思うが、集団で盛りあがろうとする各国サポーターたちは、東京・六本木の街も一時的に嫌な熱気で包んだ。一息つけたいま、今度は猛夏が襲いかかってきた。紫の本に透明カバー、涼しげな本書を選んだ。
 「人種」の概念は学問的に破綻している、と聞く。では、その「人種」と部落差別はどのようなな関係にあるのか。「人種差別撤廃条約」に部落は含まれぬという日本政府見解に憤りを感じるだけに、その観点で読んだ。
 一七世紀の北米でのイギリスの植民地経営について「奴隷は主として『黒人』という特定の『人種』に集中しました。『黒人』
奴隷は一種のカーストであり」という指摘は良い。また、「部族」の言葉から連想するイメージを学生に問うたアンケートの分析も興味深い。が、「人種」概念の破綻そのものには『日本文化の源流を探る』(解放出版社、九七年、沖浦和光)以上のふみ込んだ説明がなく残念だった。
 学者は差別撤廃へもっともっとがんばれ、逆に熱くなった。(K・S)

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