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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2071号/02.06.03
 「個人の尊厳を重んじ、真理と平和を希求する人間の育成…普遍的にしてしかも個性豊かな文化の創造を目指す教育」(教育基本法)が、大きな危機に立っている
▼というのは、文部科学省が『心のノート』を作成し、小・中学生に配布しだしたからだ。これは小学校は低・中・高学年の三種類、中学は一種類を配布する。内容は「道徳」。じつに道徳関連予算八億六千万のうち七億三千万も使って作成したもの
▼小学低学年では、むねをはっていこう/こころと こころを むすぼう、など。中学になると、社会に生きる一員として/我が国を愛し その発展を願う、などといったものが出てくる
▼この道徳副読本は、学校だけでなく家庭でもひらき、さまざまな書き込みなどもできるようになっている点が大きな特徴。もちろん、各教科とも関連づけて使うよう文科省から指示が出ている
▼問題は事実上の「国定教科書」(道徳で使うのはこの一種類だけ)で、現代社会のなかで新たな国民統合をねらう意図が透けて見える点だ。「新しい教育基本法を求める会」の提言である、伝統の尊重と愛国心の育成、国家と地域社会への奉仕などをしっかり盛りこんだものになっている
▼道徳は、国家によって押しつけられるものではない。現実に生きる社会のなかで、どう生きるべきかなど、自己実現を図る努力、さまざまな関係をつうじ、みずからが形成するものではないのか。

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