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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2118号/03.05.05

勇敢な娘たちに

アリス・ウォーカー 著  柳沢由美子 訳  集英社(定価2000円)

書籍画像 アリス・ウォーカーは、アメリカの黒人作家のなかでもとくに豊かな感性によって、女性の視点から多くの問題提起をしてきた。彼女の問題提起は、白人社会にとどまらず『カラーバープル』では、黒人社会のなかの負の部分を描くことによって論争を巻き起こした。
 彼女はフェミニズムではなく、ウーマニストだと主張する。より複合的な視点からの黒人女性の存在表現を模索している。
 被差別部落でも、この提起と通底する課題があることは意識されている。しかし、課題の顕在化の歩みはきわめて遅い。解体しつつある共同体に代わって「運動(男)」という名のあらたな規範が抑圧的に機能しているからだと考えている。
 本書のほかに新しくはないが、『アメリカ黒人女性解放史』(時事通信社)、聞き書き『塩を食う女たち』(昌文社)の作業に多くの共感を得るだろう。ただ問題は、ムラの女たちの声を誰がどのように組織するのかということ。
 解放とは、男並みや世間並みの平等感をこえたところにこそある言葉だと思っている。 (安)

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