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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2186号/04.09.20

日本人の死のかたち
伝統儀礼から靖国まで

波平 恵美子 著  朝日新聞社(定価1200円)

書籍画像 私は信仰をもたず、宗教を信じていないという人が多い。しかし、そういう人に限って友人や知人の葬儀の場で合掌して、焼香し、遺影に礼拝するという宗教行為を自覚することなくしている場合は多い。世俗化された無意識のなかでの宗教性に気づくことはない。海外派兵した自衛隊員が「戦死」した場合、靖国神社へ神として祭るという事態も目前である。故人の思想信条を無視して、国家が個人を慰霊するという歴史も伝統もないこうした儀礼がなぜおこなわれるようになったのか。今度は、それを東京都に認可された一宗教法人の靖国神社が勝手に祭っていくことになる。
 本書は、伝統的な日本人の生死観を紐解きながら、国家によって捏造されていく「死と霊」の姿をあきらかにしている。また、本書とともに読んでほしいと思うのが『葬祭の日本史』(高橋繁行・講談社現代新書)である。労作である。
 被差別部落民が歴史的に葬送にかかわった話は聞くが、ほとんどまともな研究がない現在、必読の書である。 (安)

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