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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2188号/04.10.04

葬祭の日本史

高橋 繁行 著  講談社現代新書(定価720円)

書籍画像 日本の火葬率が世界一であることをご存知か。99.31%で、2位の香港で78.31%、アメリカでは25.39%、フランスは16%である。これは、キリスト教圏では肉体と魂が一対のもので、肉体がないと魂が戻るところがない、という宗教観による。日本は、火葬大国なのだ。
 その日本の葬送儀礼の特徴は、「死者を成仏させあの世に送る成仏儀礼と、それに先立ち、死の穢れを清める儀礼の二重構造によって成り立っている」ことにある。では、歴史的にこの二重構造はどう形成され、継続されてきたのか。この本は、中世から現代までの葬祭の歴史と意味を追ったものだ。
 三昧聖の成り立ち、系譜、近代に入ってからの解体と資本による再編。しかし、「明治」期に近代葬祭を創りあげた二人は「死の穢れを自ら積極的に引き受け、清めの儀式を行った毛坊主系譜に連なる人」であったというのも、おもしろい。
 エンバーミングという最新技術の紹介もある、葬祭通史としておもしろい1冊だ。 (A・K)

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