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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2156号/04.02.09
 テレビドラマで放映第1回目から高視聴率をあげたのが「砂の器」。自分の過去を隠すために殺人を犯した天才ピアニストが主人公のドラマ。映画や原作とは筋立ても違うというから期待したい
▼以前みた映画は殺人を犯した動機としてハンセン病が語られるだけ、しかも、石もて追われるように地域共同体から排除された親子が、美しい風景を背後に放浪をつづけるシーンが美しいとされるドラマだった
▼情にのみ流されたドラマじたてで、殺人の背景説明にだけハンセン病が使われているようで、しっくりこなかったことを覚えている。そういうドラマにならないことを求めたい
▼ドラマのなかでピアニストが裕福な政治家の娘、婚約者に向かって、こんなセリフをはく。「人は生まれながらに差がついていると思うんだ」と。A紙はこのセリフを紹介して、こう書いている。「戦争もなく、平和で豊かな日本にも、みえない壁があちこちにある。生まれながらの『差』をことあるごとに感じて生きざるをえない時代は、やはり不幸だと思う」と
▼たしかにそのとおりだ。1980年代以降の日本社会は、階層の固定化が定着してきている。かつて、階層間の移動が多く、活性化しているといわれた日本社会に、いま、そのおもかげはない。時代は金持ちはより金持ちに、貧乏人はより貧乏にという道を辿っている。この閉塞した社会を打ち破る活力が本当は必要なのだが。

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