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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2308号/07.02.26

国家・社会変革・NGO
政治への視線/NGO運動はどこへ向かうべきか

藤岡美恵子 他 編  新評論(定価3200円)

書籍画像 日本のNGOが海外の途上国にさまざまな支援活動を始めてまだ日は浅いが、その歴史は政府によるODA批判の先頭にもたってきた。それは、対等な関係のあり方を模索する試みでもあった。
 本書は現在のNGOが政府の下請けになっているのではないかとの問いかけと、克服への提起である。その論議の趣旨に賛意を惜しまないが、論議されていないと思うのは、「支援」される側の安全確保の視点だ。
 多くの場合、悪循環をつづける貧困と暴力。住民のエンパワメントをとおしてNGOが「社会変革」に参与するという思いはいいとしても、あわせてそこに生きる人たちの安全確保からの論議はさけられないと思う。
 インドでの体験だが、貧困からくる農民の飲酒とDVは深刻であり、密造酒商人を告発した村の女性活動家が暗殺された事件があった。ただでさえ、生きる権利を主張すれば地主や資本、国家との緊張関係は生まれる。そうした現実をどのように捉え、「社会参与」を語るのか。その論議にも自覚的でありたい。(安)

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