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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2323号/07.06.18

ベネディクト・アンダーソン
グローバリゼーションを語る

梅森 直之 著  光文社新書(定価700円)

書籍画像

 「国民とはイメージとして心に措かれた創造の政治共同体」というアンダーソンの言葉に驚きながら、『想像の共同体』を読んだのは、かなり以前だ。苦労して読んだあと、増補版が出て、あわててそれも買い、何でこんなことするんや、と腹が立ったことを思い出す。
 この本は、05年にアンダーソンを日本に招いたときの連続2講座を活字にし、その解説を編者がつけたもの。増補版を出したのは誤りに気づいたから、ということが率直に語られている。そして、今の自分の研究状況を示し、「20年も前に言ったことを今も言い続けている人がいるとすれば、その人は自分を恥じるべきだと考えてきました」とも。なるほど、率直なもの言いだ。
 難解なテキストをかんで含めるように編者が説く。本質王義と構築主義(この場合は、国民を作られたものととらえる)の違い、国民の古代性・閉鎖性・共同性という操作のもとに、国民がどのように形成されたか、というアンダーソンの問題意識が見事に短い文章のなかで展開される。
 これは、部落問題にも大きなサジェスチョンになる。ぜひ一読を、と多くの人にすすめたい。 (A)


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