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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2322号/07.06.11

 画面が突然、真っ白になる。数秒後、タイトルクレジットが無音のなか流れる。しかしそれが終わるまで観客は誰1人として席を立とうとしない。余韻に浸りきっているからだ
▼つい先日見た映画『パラダイス・ナウ』がそれだ。パレスチナ人のハニ・アサド監督がイスラエル人プロデューサーらと作り上げた作品で、パレスチナ人青年による「自爆テロ」を措いている
▼ヨルダン川西岸の町ナブルスはコンクリートの壁と有刺鉄線で覆われている。イスラエルによる占領下、人びとは貧困と閉塞感のなかで暮らしている。ある日、幼なじみの2人の若者に体に爆弾を抱き爆発させるという自決作戦のよびだしがくる。それからの48時間を描くのがこの映画だ
▼自分の父親がイスラエルによって「密告者」にされ処刑されたことにサイードは負い目を持つ。だからこそサイードは、それをはらすためにも「現状を変える唯一の手だてが自爆攻撃だと考え」実行する、友をおいて
▼私たちが普通の部落民であるように、そこには普通のパレスチナの若者が、個人の意志で自爆攻撃をおこなう。なぜ、どのようにそうなったのか、が描ききられている
▼とても重い映画だ。「パレスチナ人を遠い存在ではなく、近い存在に感じていただければ嬉しいです。パレスチナの現状を「知る」ことこそが暴力の連鎖をくい止めるのです」という監督の言葉を、いまもかみしめている。


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