pagetop
部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2394号/08.11.10

労働再規制
―反転の構図を読みとく―

五十嵐 仁 著  ちくま新書(定価740円)

書籍画像

 「日雇い派遣はあまりにも問題が多い。厳しい形で考え直すべきだ」と6月13日、舛添厚労相が記者会見で発言。今臨時国会に労働者派遣法改正案を提出する。派遣労働をめぐり「規制緩和から強化へ」と政策転換の必要性を認めた。
  規制緩和と民営化を主たる内容とする新自由主義政策は、構造改革とよばれたように「既得権益」の打破という点では新鮮さを持っていたかもしれないが、その規制緩和が格差の拡大や貧困の増大など、新たな問題やひずみを生み出したことは周知の事実だ。
  著者は、「労働の規制緩和を推進した、その新自由主義的な政策は、いまや失速。政治は反転し、逆方向へすすみだした。構造改革による格差と貧困の増大が明らかになったからではない。そこには官僚の思惑や財界の駆け引きなど、既得権益の復活を意図する逆襲があった」と。そしてその転機になったのは、ワーキングプアの衝撃、非正規労働者によるユニオンの誕生など、06年のマスコミと労働運動の変化だったという。
  折りしも、その新自由主義政策を世界に撒き散らした米国が、自身の金融危機・景気後退で、その政策の破綻があさらかになった。(MT)



「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)