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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2394号/08.11.10

 大江健三郎さんの著書『沖縄ノート』をめぐる裁判で、2審の大阪高裁は集団自決について「「軍官民共生共死の一体化」の方針の下に軍が深く関わったことは否定でき」ないとして1審判決を支持した
▼判決は、ある主張にたいし別の資料や論拠にもとづく批判、再批判がくり返され、「その時代の大方の意見」がつくられ、それが時代をこえて再び批判されていく、という過程を保障することが民主主義社会の基盤としている
▼同じ日に起こったのが航空自衛隊トップ、田母神・航空幕僚長が中国侵略から太平洋戦争へいたる過程を「侵略というのはぬれぎぬ」として更迭された騒ぎ
▼この「論文」、某ホテルチェーンの雑誌の懸賞論文で300万円をもらえる最優秀賞を取ったが、中身はお粗末そのもの。この人にかかれば、歴史研究の成果も無視し、思い込みだけで資料を使う。張作霖爆殺事件や真珠湾攻撃も、当時、ソ連邦におかれたコミンテルン(第3インターナショナル)のせいということになる
▼「大東亜戦争」中に植民地のインフラ整備に力を尽くし支持された、敗戦後のアジア諸国の独立に寄与した、と侵略戦争をはめまくる。あげくの果てが、みんな侵略国家だったという居直りと現憲法規定の否定だ
▼「時代の大方の意見」を無視したこの主張、シビリアンコントロールのあり方、戦争責任の曖昧化、歴史認識のあり方などを問うている。


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