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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2414号/09.04.13

 裁判員制度実施へあと1か月。しかし、市民が裁判に参加するための環境は整ったのかどうか。ノーといわざるを得ないのが現状ではないのか
▼たとえば日当。子どもをかかえる親や、被介護者をかかえる人が、一時保育や介護サービスを受けたさいの自己負担額を支給することも必要だろう。託児施設を裁判所内につくる、という工夫もいるだろう
▼裁判官、裁判員との評議内容は生涯守秘というのも酷だ。もっと弾力的な運用が必要だろう
▼もっと重要なのが、被告人の防御権が本当に守られるのかどうか。保釈の条件がそろっているにもかかわらず、拘置所に被告人をとどめおき、防御活動をいちじるしく制限することが、人質司法として平気でおこなわれている
▼短時間で裁判を終わらせるための公判前整理手続きがあり、新たな争点が出てきても証拠提出は制限されていることへの見直しも重要だ
▼しかし、もっとも重要なのは、全取り調べ過程の可視化と証拠の全面開示。裁判員制度になっても、これ以上有罪率は上がらないから裁判員制度がえん罪を招くことはない、という本当のような嘘のような主張があるが、可視化と証拠開示がえん罪を防ぐ大きな武器になることはたしかだ
▼やってもいないのに自白し、それを公判で維持するというのが、えん罪の一つのパターン。取り調べや証拠との関係で市民的常識からこれを見抜くための担保が、必要なのだ。


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