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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2417号/09.05.04
 「あなたなーらどうする」という声が聞こえてきそうなのが、毒カレー事件での最高裁の決定。死刑を確定させた。1審は動機を「解明することはできなかった」、2審は「断定は困難」。動機なき殺人は存在しない。一番肝心な部分が欠落しているのだ
▼カレーに混入されたものと同じヒ素を自宅から発見、カレー鍋に入れる機会があったのは被告だけ、という状況証拠だけで、「合理的な疑いを差しはさむ余地のない程度に(犯罪事実が)証明されている」といえるのかどうか
▼いうまでもなく犯罪行為を証明するのは警察、検察だ。ところが、毒カレー事件では状況証拠だけ。これでは有罪と判断できない、というのが裁判員の態度だろう。だからこそ、状況証拠だけでも有罪にできるとアピールするのが、この最高裁決定の狙いではないか、とうがった見方にならざるを得ない
▼家のなかに貯金箱があった、あるいはハサミがあった。こんなことが秘密の暴露だとされてきたのが、鹿児島の志布志事件。舞鶴の女子高校生殺害事件でも状況証拠だけで逮捕。刑務所に収監中で逃亡の恐れもないのに代用監獄を使う。足利事件では、有罪証拠とされたDNA鑑定のでたらめさが明らかになったのに、即再審をひらかず、えん罪者は獄につながれたまま
▼検挙率の高さを自慢し、治安維持至上主義の警察国家のあり方が、今日もどこかでえん罪を生み出している。

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