へこたれん
差別はきっとなくせる

松村　智広　著　　解放出版社（定価1200円）

　著者は、本紙のコラム「マチからムラから」の執筆者の１人。
　 昨年の長崎全高は、大学時代に引率参加した全奨（現在の全高）と、地元での三重全奨（97年）につづき、３回目の参加となる全高。３日目の分科会での講演を引き受けて参加したのだが、初日の夜、分科会で話し合う内容を全参加者にプレゼンテーションしている自分の分科会の司会者たち（高校生）の姿を見て偏見を抱き、翌日、その高校生たちが発揮した力量に、みずからを大いに恥じいった体験も、率直に告白している。
　 「（編集部注、分科会の大成功後に司会者の高校生は）私に笑顔で丁寧にお礼を言ってきた。私はほんとにうれしかったが、穴があったら入りたいほど自分が情けなかった。分科会が始まる前まで、私は彼のことを見くびっていた。いや、バカにしていた。いつの日にか、またどこか
で彼と会うことがあるだろう。そのときこそ直接顔を見て言いたい。「あのときはごめんなさい。そして、ありがとうございました」と」「また、こうも思った。解放運動の後継者がいないと嘆くが、逸材がこんなにたくさんいる。ただ、われわれ大人がつないでこれなかっただけだと」。
　 解放運動の現状、反差別の生き方を生きいきと伝える１冊。（K・S）