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部落問題資料室
コラム
今週の1冊 第2464号/10.04.05

ルポ戦場出稼ぎ労働者

安田 純平 著  集英社新書(定価720円)

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 イラクで人質になった人がいた。当時、日本では「自己責任」が席捲し、イラク参戦を正当化した。かつて、日本の天皇軍による南京陥落やシンガポール陥落で、提灯行列に浮かれた人たちと同じ精神構造をかんじる。朝鮮民主主義人民共和国への危機をあおって戦後支配のネタにしてきた人たちの存在もある。「学校のいじめ」を国家ぐるみでやるようなレベルに震撼したものだ。そのイラクで人質になった経緯を持つジャーナリストによるイラク潜入記だ。
  イラク戦争が民営化されていることは承知していた。日本人傭兵が死んだことでその存在が知られるようになった。筆者は料理人として占領地イラクへはいり、戦争の末端に貧しい労働者が世界から集まる現実のなかに身をおく。基地建設現場で料理人として過ごしながら、そこに働く人の背景を読み解こうとする。
  筆者は、男の手料理くらいしかできなかったが、執念とはおそろしい。彼は、給食事業全般を任されていく。こうした戦場で働く労働者は、07年現在、15万人の米兵にたいてして36か国12万6000人が国防総省関連の仕事についたという。第五章が総括。不況であふれる失業者。筆者は、日本人が戦場に出稼ぎに行く時を予見している。 (安)


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