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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2491号/10.10.25
 70日ぶりにチリ北部のサンホセ鉱山で落盤事故にあった作業員が、約700メートル地下から救出用カプセルで地上に出てきた瞬間、拍手と感動の声があがった。テレビの映像を通じて、そのようすは世界中に発信された。33人全員が救出され、本当によかった
▼かれらは、あまりさわがないようにメディアにいい、今後、全員で本を執筆するという。が、地下での苦闘が精神に与える影響が出てくるのは1か月後という
▼この事故は起こるべくして起こったのだ。それは、危険だとして、閉鎖されていた鉱山を、大国による資源争奪戦で銅が高く売れるため無理やり再開したものだったからだ
▼支持率が下がるチリ大統領は地下に閉じこめられた全員が生きていることが早くから分かりながら、みずからの鉱山への到着にあわせて発表するというパフォーマンスを強制した。あるいは救出時期についてもそうだった
▼レトロで懐かしいものを求める廃墟ブームだそうだ。長崎の軍艦島を訪れる観光客も増えている
▼だが、そこが部落民や強制運行された朝鮮人が酷使された炭鉱であったことをどれほどの訪問者が知っているのか。あるいは29年前に北海道の北炭夕張新鉱でガス突出事故がおき、会社側は延焼を防ぐとして坑内の59人をおきざりに、事故発生から1週間後注水したことを何人が覚えているのか
▼過去を明確に記憶にとどめること。このことが新たな創造の源となるのである。

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