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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2495号/10.11.22
 岩崎宏美という歌手が好きだ。歌唱力がある。みずからの人生を歌にこめる力がある。ちあきなおみと並んで日本を代表するエンターテイメント歌手ということができるだろう
▼そんな彼女がある番組で語っていた。ミュージカル「レ・ミゼラブル」に出演したときだ。演技には自信がない。だから歌う場面では、自信を込めて精一杯歌った。すると周辺から、独演会ではないぞ、という声が飛んできた。彼女はへこんだ
▼もう一つの難題が劇中の歌、「夢やぶれて」だった。これまで自分のために書かれた曲を歌ってきたが、今度は誰がうまいのか、互いに争うことになる。自分以外でもっとうまい人がいれば、その曲はその人に持っていかれる
▼この曲、イギリスのスーザン・ボイルの出現で一挙に有名になった。当時の岩崎には、長い人生を生き抜き、夢やぶれた、と情感を込めて歌うことは難しかった。だが、その後、彼女は結婚、出産、離婚を経験。そして10年後、見事に歌いこなした
▼1980年代、大きな物語は終焉し、社会運動には大きな冬の時代を迎えたかのような雰囲気が漂う。パラダイムが大きく変わったのに、それに対応できていないのが現状ではないか
▼それは、それぞれの持ち歌を勝手気ままに歌ってきたからではないのか。多くの人びとが同じ舞台に上がり、役割分担とともに、協働の力で物事を成し遂げていく喜びを再興することが大切ではないか。

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