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部落問題資料室
コラム
荊冠旗 第2518号/11.05.16
 あれから10年。21世紀のはじめ、01年の9.11のことだ。同時テロの主犯はアルカイダという組織のトップ、オサマ・ビンラディンとされた。つまり容疑者だ。米政府は5月1日、この容疑者を射殺した
▼殺害場所は他国のパキスタン。しかも当該国の了承も得ず、急襲した。米大統領は、アルカイダ打倒に成果をあげたともちあげ、A紙も記事では「極めて大きな成果」と書く。しかし、同紙の解説記事では「米国が主導する対テロ戦争の戦況にはさほどの影響はない」と書き、矛盾もはなはだしい
▼この「成果」を賞賛したのが日本政府。国連の事務総長も同様の声明を出し、国際的な批判をあぴている。他国へ急襲し、容疑者を裁判にかけるのではなく射殺するという行為は、あまりにも自己中心的だろう
▼自国にとって重要なことは世界にとって重要なこと、という「世界基準」を人びとに押しつけ、寛容や対話の精神を失ってきたことが、テロを生み出す一因でもなかったのか。対テロ戦争を叫ぶのなら、テロの背景を徹底して分析し、世界に貢献することが正道ではないのか
▼今年の3.11も記憶される日になる。だがここでも問われるのは、大地震がこの社会の現況を明らかにしたことだ
▼たとえば原発事故は起こるべくして起こったのではないか。だれが、なんのために、なぜ、どのように推進してきたのか。こうしたものを暴き、新たな関係を創り出すことが復興ではないのか。

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