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部落問題資料室
NEWS & 主張
「門地」による差別撤廃を国連人権小委が決議
(2000.8.11)
  国連人権小委員会は、8月11日、歴史上初めて世系(descentの訳で門地のこと。「人種差別撤廃条約」の公定訳では世系となっている)にもとづく差別について決議を採択した。これは日本の部落差別をはじめ、インドをはじめ南アジアのカースト制度にもとづく差別、アフリカに存在する同様の差別を対象としたもので、①これらは国際人権法で禁じられた差別②当該政府は撤廃のための法的・行政的措置をとること③差別行為にたいし刑事罰をふくむ処罰、制裁を④この問題で小委のメンバーがワーキングペーパー(研究報告書)の作成を、が決議のおもな内容。世系にもとづく差別が、「人種差別撤廃条約」で明確に対象とされているにもかかわらず、日本政府は人種差別撤廃委員会への報告書から部落問題を対象外として除外しようとしている。今回の決議内容を武器に、国内での諸政策の具体化をさらに迫る必要がある。
この決議は長年にわたるインドのダリットを中心とした活動、それと合流した反差別国際運動の活動が大きな原動力になって採択されたもの。とりわけ8月9日の委員を対象にしたジュネーブでの説明会で高橋書記長が日本の部落問題を訴えたことも決議へいたる大きな力になった。

職業および世系にもとづく差別 人権小委員会決議・2000/4)

世界人権宣言第2条が宣言するように、すべての者が人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治的意見その他の意見、民族的もしくは社会的出身、財産、出生または他の地位などによるいかなる差別を受けることなく同宣言に掲げるすべての権利および自由を享有することができることを再確認し、職業および世系にもとづく差別が、歴史的に世界のさまざまな地域で社会の特性をなしてきたこと、および世界の総人口の相当程度の人びとに影響をおよぼしてきたことを認識し、関係国政府が、職業および世系にもとづく差別の慣行を廃するためにとった憲法上、立法上および行政上の措置を認め、しかしながら、職業および世系にもとづく差別が当該社会に根強く存続していることを懸念し、

1.職業および世系にもとづく差別が国際人権法により禁止されている一形態の差別であることを宣言する。
2.政府にたいして、職業および世系にもとづく差別を禁止し、および救済をはかるために必要なすべての憲法上、立法上および行政上の措置(適当な形態の積極的差別是正措置を含む)が適切なものであることを確保すること、ならびに、当該措置があらゆるレベルのあらゆる国家の当局によって尊重され、および実施されることを確保することを要請する。
3.政府にたいして、自国の管轄の下にあるすべての個人または団体であって、職業および世系にもとづく差別の慣行に従事したと認められるすべてのものに、適当な法的処罰および制裁(刑事制裁を含む。)が規定され、および適用されることを確保することを求める。
4.グネセケレさんにたいして、財政支出を伴うことなく、つぎの目的をもって、職業および世系にもとづく差別の問題に関するワーキング・ペーパーを作成する任務を委ねることを決定する。
A)職業および世系にもとづく差別が実際に継続しておこなわれている社会を特定すること。
B)当該差別を廃止するための、既存の憲法上、立法上および行政上の措置を検討すること。
C)当該差別を効果的に撤廃するための、当該検討に照らして適当と考えるいかなるいっそうの具体的な勧告および提案をもおこなうこと。
5.第53会期で、同一の議題のもとで、この間題を継続して審議することを決定する。

翻訳:反差別国際運動(IMADR)


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