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全国の仲間と交流
中学生が活動者会議で
差別に負けない思い報告

「解放新聞」(2002.10.7-2089)

 部落解放第5回中学生活動者会議を九月二十一、二十二日、福岡・部落解放センターでひらき、八府県連から百人の中学生が参加した。中学生は、寛政松原五人衆の話をもとに作られた絵本『いのちの花』の朗読劇を鑑賞、絵本の作者の園田久子さん(福岡市同研)から絵本制作についての話を聞き、五人衆のお墓見学など福岡市内の部落のフィールドワークをおこなった。また、夜には夕食交流会をひらき、全国の仲間と交流を深めた。二日目、梅本テル子・長崎県連女性部長から「私の歩んだ道」と題して戦争の体験談を聞き、学習を深めた。活動報告では六府県連の中学生が、地元支部や学校での活動、差別に負けない思いを報告した。
 岡田健悟・教対部長、福永謙二・福岡県連教対部長がそれぞれあいさつし、「部落差別をはじめとする身のまわりの不合理がなぜ存在するのかを考えよう。それぞれの個性を生かし団結して、ひとつの差別を乗り越えるためがんばろう。気力、意欲をしっかりもって感動をもてる生き方をしていこう。今日の出会いを大切にしてほしい」と撒を飛ばした。

中学生が集い交流
全国の仲間とともに学ぶ

 絵本『いのちの花』を制作した園田久子さんは、堀口村の過去帳に寛政松原五人衆の話が載っていた。過去帳しか残っていないのだが、ムラのなかで口から口へと脈みゃくと話が伝承されていたから、この話は事実だと確信し、書きたいと思った。皮革をあつかう商売で成り立つ堀口村は、「解放令」後、自力で学校を作ったり、「特別措置法」のないころから子ども会活動など、部落差別にたいして「人を植える」たたかいをしてきた。絵本のなかで、五人衆が殺される場面は「おれたちゃ、人間の腹から生まれた……」となっているが、最初は「……」の部分に「人間ぞ!」があった。なぜ「人間ぞ!」を省いたのか。それは、①同和教育の力不足を感じる。先生も生徒もやらされている感がある。みんなに「……」を考えてほしい。②私自身は「人間ぞ!」といえるのか。自分の傲慢さを感じた。
 五人衆の墓が「昭和」のはじめにやっと完成した。亡くなった人を大事にするということは、命を大事にするということだと感じた。私は堀口村でいろんな人に出会った。いのちが生きて生活がにぎわう。友だちができて、一緒に生きられたらいいなあと思う、と語った。
 その後、五人衆の墓や松源寺、馬出・大光寺など福岡市内の部落のフィールドワークをおこなった。
 二日目、「私の歩んだ道」と題して、梅本テル子・長崎県連女性部長が講演した。梅本さんは、「長崎に原爆が投下された後、浦上川でみんな死んでいた光景は、凄惨な有様だった。八月九日、原爆が落ちたとき、家の下敷きになった妹を助けてやることができなかった父が、言葉を発することができなくなり別人のようになってしまった。兄と弟も死んだ」と原爆、戦争の悲惨さを語り、「戦争のない世のなかを作ってほしい。部落に生まれたからといって自分を卑下することはない。どういうことがあっても人間として胸を張って生きてほしい」と平和への願いを訴えた。
 活動報告では、大阪から、八尾市桂中学校の解放研と民族クラブのメンバーが学内のとりくみを報告し、解放研メンバーが差別にたいする怒りや仲間との連帯などの思いをこめたオリジナルソングを歌った。鳥取からは、下味野支部の中学生が年間行事を報告、石川さん夫妻を招いて交流会をしたことなど感想をのべた。このほか香川、福岡、京都、兵庫の六府県から、地元の活動などの報告を受けた。
 吉岡教対副部長が閉会のまとめにたち、「差別にたいしてノーといえることが大切。そのためには勉強が必要。相手に理解してもらって一緒にたたかう仲間を作っていこう」とよびかけた。


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