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女性が平和構築に決意を
日中平和条約が照らすもの
「解放新聞」(2003.04.14-2115)

 

 平和構築のための国連の枠組みがアメリカのイラク覇権によって覆された。侵略戦争の歴史をこえ民衆の力によってつくりあげた「日中平和条約」の道のりに私たちは再び学ぶべきだろう。「日中平和条約」締結25周年記念日中女性の集いの続報を掲載する。

 日中平和友好条約締結25周年記念日中女性の集いが2月22日、東京・東海大学校友会館でひらかれ400人が参加した。(2110号
既報
)。米によるイラクへの強行覇権が国連を舞台に激しく論議されるさなか、日中友好条約が世界に明示した「相互尊重」「相互不可侵」と、「いかなる覇権の試みにも反対する」という、72年9月に北京で締結した条約の精神を深く心に刻む日となった。中国からは彭珮雲(ホウハイウン)全国人民代表大会常務委員会副委員長(中華全国婦女連合会主席)はじめ10人の代表団が訪日した。
 歓迎・代表団のあいさつのあと、「集い」の基調を清水澄子・日本婦人会議常任顧問がおこなった。基調は条約が提示する平和への希求を再確認し、新しい平和構築の大きな契機にしようとよびかけ、日中国交正常化は30周年を迎えたが、民間の交流は50年の歴史がある、日中の平和へのパートナーシップは官を民がリードしたもの、と平和構築のための民衆の連帯の可能性を強調し、①歴史認識や教科書問題など友好の底流に冷たい空気がある。いまこそ条約の基本原則を確かめ、首相の靖国参拝問題、歴史認識について真剣に解決していこう②条約が提示した平和5原則と反覇権という約束を今後どう守っていくかが重要③日中の友好の発展は2国間にとどまらず、世界の平和に貢献する④00年に採択された平和と安全保障にジェンダーの視点を盛りこんだ「国連安全
保障理事会決議1325号」の実行を迫っていこう⑤日中友好の3つの政治文書(72年共同声明、78年友好条約、98年共同宣言)を尊重しよう、と女性が戦争の被害者になることなく、平和に積極的役割を果たしていくために、「集い」がもつ今日的意義を提示した。
 中国側からは、中国政府が女性の科学教育に力を注いでいる政策などが報告され、都市部女性と農村女性には格差があり、伝統的な女性観を払拭し、女性の社会進出をすすめるための女性の権益の合法化の必要性が報告された。とくに、張静・中華全国婦女連合会国際連絡部部長が「女性は和平にたいしてより多くの関心と期待をもっている。女性が友好関係を強化し平和の維持に強い決心をしめそう」と、冷戦構造を放棄し、新しい安全保障のメカニズムの早急な構築が必要であること、国連のとりきめ、国際法の厳守が重要と、力強く訴えた。
 日本からは5つの発言があり、グローバル経済のもと、法律が解雇を容認し、派遣労働を保障しているなかで、その犠牲を強いられているのは女性であり「性差別禁止法」が必要、ブッシュ政権を中心に北京の行動綱領が骨抜きにされようとしている。世界の女性NGOの連帯がいまこそ重要など、女性運動の共通点を模索した。また、園田天光光さんが条約締結の逸話を報告した。

安保理1325号決議とは
 国連安全保障理事会が初めて紛争が女性に与える影響と、紛争解決と持続的な平和に女性が貢献できることを盛りこみ、採択したのが国連安全保障理事会決議1325号。00年10月に決議した。
 18項目からなり、「紛争の防止、解決と平和構築に女性が重要な役割をもつことを再確認し、それらの意志決定機関の参画を高める」ことを明記している。また、平和維持の活動、和平協定の交渉や実施にジェンダーの視点をとりいれることも言及した。軍事化がこれまでの家父長文化を背景に強化されてきたことを、ジェンダーの視点で解体する作業がいま始まっている。

 


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