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「人権教育・啓発推進法」の活用と
第2次「人権教育のための国連10年」の実現をめざす決議

 

 「人権教育・啓発推進法」が、2000年12月に公布・施行され、3年余が経過した。この法律は、「部落解放基本法」の制定を求めた運動が中心となって獲得したもので、法案の中に盛り込まれていた「教育・啓発法的部分」が実現したものである。特に、この法律の冒頭に、憲法14条を引用して「社会的身分、門地」が規定されたことは、部落問題解決を重視したことを示している。また、あらゆる差別をなくすことを明確にしたことは重要である。
 この法律を受けて、政府は2002年3月に「基本計画」を策定し、翌2003年3月、「人権教育・啓発白書」を公表した。これらは、法律の履行という面では評価することができるが、人権を人びとの心がけの問題にすり替えている点や、公権力に従事する人びとのなかでの人権教育の推進が軽視されているなどの面で重大な問題点を含んでいる。今後、これらの点をふまえた「基本計画」の改訂と、この法律の所管を内閣府へと移管することを求めていく必要がある。
 また、世界中に人権文化を創造し、人権と平和が守られた21世紀を構築していくことをめざして、1995年1月から開始された「人権教育のための国連10年」も、いよいよ本年で最終年を迎えた。この間、日本政府は、わが同盟をはじめとする「『人権教育のための国連10年』推進連絡会」などの働きかけによって1995年12月、内閣総理大臣を本部長にした推進本部を設置するとともに、1997年7月には、国内行動計画を策定した。このなかには、企業を含むあらゆる分野での人権教育の推進、教員や公務員、警察官や検察官、医療関係者や福祉関係者など特定職業従事者のなかでの人権教育の推進、部落問題をはじめとする被差別・マイノリティの人権の重視などが盛り込まれている。また、37の都道府県、600に及ぶ市町村においても、推進本部が設置され、行動計画が策定されてきている。
 しかしながら、内外の厳しい人権状況を直視したとき、これまでの総括をふまえ、第2次の「国連10年」が取り組まれる必要がある。このため、わが同盟は「推進連絡会」などとの連携を強化し、国や地方自治体、さらには国連に対して第2次「国連10年」に取り組むことを強く要請していくものである。
 右 決議する。

2004年3月3日
部落解放同盟第61回全国大会

 

 

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