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部落問題資料室
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主張

 

新100万人署名達成し特別抗告審
の勝利を実現する年にしよう
「解放新聞」(2005.1.31-2204)

 昨年12月9日、福岡高裁宮崎支部は、大崎事件の再審請求で、鹿児島地裁の再審開始決定を取り消し、再審請求を嚢却する決定をおこなつた。大崎事件は、鹿児島地裁の再審請求審で、鑑定人尋問などの事実調べと証拠開示がおこなわれ、2002年に再審開始決定が出されたが、検察側が即時抗告をおこなっていた。
 高裁の棄却決定は、再審開始決定が事実調べのうえで採用した弁護側の鑑定や主張を信用性がないと否定し、確定判決に合理的疑いはないとした。「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則を再審請求でも適用すべきとした最高裁判例に反する不当決定といわねばならない。無実を叫びつづける原口さん(77歳)は、弁護団とともに最高裁に特別抗告を申し立てた。
 現在、最高裁では、この大崎事件、昨年、東京高裁が再審請求を棄却した袴田事件、そして狭山事件の特別抗告審が争われている。最高裁が、「無実の人を誤判から救う」という再審制度の理念、「疑わしきは被告人の利益に」という刑事裁判の鉄則をきちっとふまえた公正な裁判をおこなうかどうか、ひいていえば、再審をどう考えるか最高裁の姿勢・人権擁護の立場が、いずれの再審事件でも問われることになる。

 私たちは、狭山事件の特別抗告審闘争で、弁護団が提出した新証拠の意義、石川さんの無実、証拠開示、事実調べの必要性を広く市民に訴え、最高裁が公正・公平な裁判、事実調べを保証するよう強く求めていかなければならない。
 免田、財田川、松山、梅田、徳島事件など、これまでの再審事件の経験、教訓から、また、再審制度の理念からしても、再審請求で検察側の証拠開示を義務化し、裁判所が必ず事実調べをおこなうという、公平・公正な再審請求の審理手続きの整備・立法化も必要である。
 大崎事件や免田事件などのように、再審開始決定にたいして検察側の抗告を認めている日本の現行制度も問題だ。私たちは、狭山再審を求めるとともに、えん罪・再審事件の連帯を強め、国際的な人権基準をふまえて、誤判をなくすための司法制度の改善・改革を求めていく闘いを同時にすすめなければならない。
 1月下旬からはじまる通常国会でも、裁判員制度の具体化などとあわせて、さらに、証拠開示の公正な手続きを確立するための改善・改革や司法での人権確立を求めていく必要がある。

 大崎事件の再審請求審だけでなく、名張事件、布川事件、足利事件などで、この間、事実調べがおこなわれている。日野町事件の再審請求では昨年末、狭山事件でも5通の鑑定書を作成・提出している斎藤保・指紋鑑定士の証人尋問がおこなわれた。一方で、狭山事件では、斎藤5鑑定、19通の筆跡鑑定をはじめ、同じように専門家の鑑定が弁護側から多数提出されているにもかかわらず、確定判決いらい30年以上も事実調べがおこなわれていない。裁判所の審理不尽、不公平・不公正さは明らかであろう。
 最高裁に、公正な裁判と事実調べをおこなわせるために、当面する最大の具体的課題は新100万人署名の達成である。この署名は、庭山英雄弁護士や鎌田慧さんら狭山事件の再審を求める市民の会に集まる学者・文化人らのよびかけによるもので、特別抗告審がまる3年を経過し、いつ決定が出てもおかしくない緊迫した段階にあるいま、早急に100万人分を最高裁に提出していきたいとしている。このよびかけにこたえて、各地で、署名運動にとりくもう。

 部落解放同盟中央本部では、1月23日~2月23日を狭山闘争・新100万人署名運動強化月間として、各地で集会・学習会や街頭宣伝などを実施するとともに、集中して署名運動にとりくむことをよびかけている。
 ちょうどこの期間中の2月13日には、テレビ朝日の報道番組「ザ・スクープ」が狭山事件をとりあげるという。鎌田慧さんの著書や狭山事件をとりあげたマスコミ記事もあいついでいる。こうした記事・報道や狭山パンフ、狭山ビデオなどを活用し、いまこそ、攻勢的に最高裁に事実調べを求めよう。

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