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部落問題資料室
NEWS & 主張
戸籍不正入手で全容解明・再発防止へ
市長トップに対策本部設置
「解放新聞」(2006.03.06-2259)
 【大阪支局】行政書士による戸籍などの不正入手・密売事件にかかわって府連は2月1日、大阪市と交渉した。大阪市では事件が発覚し行政書士らが廃業・業務停止になったあとも、その行政書士の「職務上請求書」を使った請求に応じて住民票などを交付していた。交渉では大阪市の個人情報に関するずさんな取り扱いを追及するとともに、新たな「部落地名総鑑」が発覚し、事件が単なる戸籍不正入手ではなく部落差別身元調査事件であることが明白になったことをふまえて、全容解明と再発防止へ向けて市長をトップとした対策本部の設置などを確認した。
 大阪市北区中之島の中央公会堂でひらかれた交渉には村井康利・副委員長、小島伸一・財務委員長、北口末広・書記長をはじめ執行部と大阪市内ブロック各支部の代表が出席。大阪市からは柏木孝・助役などが出席した。

事件解明へ対応求め
真相を市民に公開へ
被害者に事件経緯の説明も

大阪市交渉

 戸籍不正入手・密売事件について、大阪府連が2月1日、大阪市と交渉した。

差別身元調査事件で

 谷川雅彦・政策部長が進行。冒頭、北口書記長があいさつし「新たな部落地名総鑑の回収によって、今回の事件が単なる戸籍の不正入手ではなく部落差別事件であることが明確になった。戸籍制度自身にも問題はあるが、現在の保護基準ですら守られていなかった大阪市の責任は大きい」とのべるとともに、「戸籍不正入手事件では部落出身者だけでなく、多くの市民も自分の戸籍が取られている被害者である。しかし、戸籍を取られたという自覚すらないことが制度上もっとも大きな問題である。市民に重大性を喚起するために、市長みずから記者会見を開き、市政だよりに掲載するなどして再発を防止する必要がある」と求めた。
 府連からの要望項目は▽府からの通知により他市では交付されなかったにもかかわらず、なぜ大阪市で交付してしまったのか▽不正取得にかかわる市長の見解を明らかに▽全容解明に向けて「戸籍不正入手・『部落地名総鑑』事件」対策本部(仮称)を設置し、真相糾明、再発防止の方針を▽市政だより、ホームページ、市長の記者会見などを通じて市民に事件の真相を公開し、心当たりのある市民の相談を受ける、など。
 柏木助役は当該行政書士からの請求には応じないことを通知されていたにもかかわらず、大阪市の二つの区役所で戸籍などの不正請求に応じて交付していたことについて謝罪。しかし、事件が重大な人権侵害、部落差別であるとの認識が感じられないため、府連からは新たに回収した第9、第10の「部落地名総鑑」を示し、不正に入手された戸籍とこの「部落地名総鑑」が重なることは何を意味するか、部落差別身元調査がされていることは明白であると厳しく指摘した。
  さらに3人の元行政書士だけでなく、職務上請求が認められている他の資格者からも不正な請求がなされている実態が明らかにされつつあることを指摘し、全容の解明に向けて真撃な回答を求めた。
 交渉では①戸籍を不正に取得された被害者に通知し事件の経緯について説明すること②市政だより、ホームページなどを通じて事件の真相を公開すること③真相糾明、防止に向けた方向を2月中にまとめること④市長をトップとした「戸籍不正入手・部落地名総鑑事件対策本部」(仮称)を今年度中に立ち上げること、などを確認した。

第9・10の「地名総鑑」とは

今回回収されたのは、2種類の「部落地名総鑑」(2257号既報)。一つは、A4判332ページにおよぶ手書きをコピーしたもの。全国の部落の地名、戸数、人口などが記載されている。もう一つはゴムひもで綴られた186ページのファイルで、全国の部落の地名がタイプ打ちされたもの。
 「部落地名総鑑」差別事件は1975年に発覚。これまでに8種類が確認されている。事件発覚から30年が経過したいまでも差別調査が営まれていたことが浮き彫りとなった。

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