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部落問題資料室
NEWS & 主張
問われる「啓発」
「あの人たちと間違えられたくない」
柳井市のスナック経営者が差別発言
「解放新聞」(2006.05.15-2268)

 【山口支局】「あの人たちと間違えられたくない」と、「山口県東部地区部落問題研究会第14回講座」(05年2月10日・岩国市)のチケットをめぐり起きた差別発言事件の報告を3月11日、上関町中央公民館でひらいた上関支部10周年記念集会でおこなった。差別発言をした経営者Aは、一応謝罪はしたものの、今度は部落の人たちにひどいことをされた、というような偏見をひろめているありさまで、地域社会での啓発のあり方が根本的に問われることとなった。

謝罪したものの偏見をひろめる

 この差別発言事件と経過は、つぎの通り。
 05年2月、柳井市のスナック経営者Aが、お店のカウンターに研究会のチケットがおいてあったことから、お客のBさんが「これと同じものをいただきましたが、仕事で行かれない。ママさんは行かないのですか」と聞くと、「どうなろうど。あの人たちと間違えられたくない」と差別発言した事件。
 その発言にたいして直接反省を求めに、Aの古くからの知り合いで人権推進委員でもある部落解放同盟のC支部長が店を訪ねると、差別発言をしたAが刺身包丁をカウンターに突き立て、指摘し、先に来ていたBさんに逆ギレしていた場面に遭遇した。
 Aは、自分のおこなった発言を棚にあげて、指摘したBさんにはスキャンダルを材料に洞喝を、C支部長には「金が欲しいから言いがかりをつけたのか」と愚弄した。これまでにも、C支部長がAと人権問題の話をすると「今時、同和がどうのこうのと口にするほうがおかしい」「同和問題なんて、それは遠い昔に解決し、今時こんな話はしないほうがよい」などと部落問題に無理解な態度だった。
 その後、Aにたいして、柳井市役所も説得に入り、同年4月にC支部長や部落解放同盟などの関係組織などに、A本人が謝罪文を提出した。
 しかし、謝罪したものの、本当の意味では部落問題を理解しておらず、その後もお店のお客さんなどに、「自分は同和地区の人たちにひどいことをされた」などと発言をくり返し、偏見をひろめている状況にある。
 悪質な人権侵害事象をおこなった加害者にたいする説得や被害者の救済が、また、その地域社会での啓発のあり方など、今後の課題が浮き彫りとなった。

 報告したのはC支部長。記念集会では、柏原重海・上関町長も加わって自由討議をおこない、行政や支部員ら参加者から日日感じている差別にたいする思いや疑問などを自由に話し合った。討議のなかで柏原町長自身も体験を語り、参加者とともに部落問題の解決、人権行政への方向性を確認した。

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