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部落問題資料室
NEWS & 主張
体質のえぐりだし必要と
岐阜労働局の調査・指導に
「解放新聞」(2007.12.10-2348)
 【岐阜】1部上場企業が内定者に家族状況報告書を要求し、本籍地や家族の職業などを記入させていた事件(2325、2337号既報)で、本社のある岐阜労働局と2度目の交渉を11月13日午後、庁内会議室でおこない、前回交渉(9月11日)で、確認した、労働局みずからの課題として、企業が長期間にわたって個人情報を収集していた原因、背景、動機などを把握・解明する、とりくみの報告を受け、意見交換。「「法令」を守らなかったからいけない」のではなく、なぜ収集してはいけないのか。収集した情報を「採用選考に使用していない」ので改善すればいいのではなく、発覚しにくい所でだけ収集したのはなぜか、またその目的などが明らかになっていないことを指摘。労働局がかなり精力的にとりくみをおこなったことを評価はしつつも、部落差別や人権問題を意識しながら、本質をふまえて企業の体質をえぐりだすことの必要性を指摘した。
 また、当該企業との話しあいや、岐阜、滋賀、愛知、三重の4労働局の連携したとりくみや協議の場の設定などを求めた。
 労働局は、「やれることは全部やります。4局連携してとりくむ」ことを約束し、ひきつづいてのとりくみを表明した。
 交渉には、岐阜県連の石井輝男・委員長はじめ各支部代表、中央本部の藤本労対副部長、滋賀、愛知、三重の各県連代表など33人が参加。労働局からは太田衛・職業安定部長ら5人が出席した

岐阜労働局管内の事案を中心に交渉
内定後の個人情報収集ただす
公正採用選考の形骸指摘

受験報告書の全国化強く求め
 厚生労働省交渉(労働関係)を10月30日午後、省内会議室でおこない、原労働対策部長、藤本労働対策副部長はじめ50人が参加。省からは、職業安定局の北條憲一・就労支援室長などが対応した。
 今回の交渉では、前回の交渉(5月22日.2325号既報)で明らかになった1部上場企業が、内定後に本籍や家族状況などの個人情報を長年にわたって収集してきた問題などについて、調査結果の分析と課題、背景などの報告を求めるとともに、企業内公正採用選考人権啓発推進員制度の形骸化と位置づけの弱さ、社内研修の不徹底などを指摘。これらの是正・充実とあわせて、職業安定法5条の4=求職者等の個人情報の取扱いで、「人種、民族、社会的身分、門地、本籍、出生地その他社会的差別の原因となるおそれのある事項、思想及び信条、労働組合への加入状況」などを原則として収集してはならないことが定められていることをふまえ、「受験報告書」を、高校、大学、職安窓口をふくめ全国化にとりくむよう強く求めた。
 また、登録型派遣労働者が身上調書などをとられている例を示しながら、提出しないと事実上の就職制限の状態におかれており、強制力をもった対応をするための法整備の必要性も指摘した。
 交渉はあらかじめ示した課題項目について省が一括回答をおこない、それぞれについて意見交換をおこなった。
 省は、1部上場企業の内定後の情報収集について「受験報告書」が内定後は対象になっていなかったことも把握が遅れた一因とし、「機能するよう、教育委員会と連携をしてとりくみたい」としつつも、「受験報告書」の全国化については、「口頭や文書など各地の実情のうえにこれまで積みあげられた経緯もあり、一律は容易でないが把握は重要で、学校との連携を各地の労働局に通知した」との回答にとどまった。
 岐阜労働局でのとりくみについては、「反省しなければならない点がある」とし、最終目標は就職差別をさせないことであり、行政がどこまで関与できるかという問題はあるが、けっして見て見ぬふりはしない。やるべきことはやる。当該企業が「(収集した個人情報を)差別選考などに利用した事実はない」といっているから(今後改善すれば)いい、という簡単なものではないとの認識を示した。
 最後に、省として主体性をもち指導することが必要であり、困難な点があれば、他省庁とも連携しとりくむよう要請、省は、法的な問題もあるが、姿勢としてはきちっとしたいということは理解をと応えた。


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