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部落問題資料室
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IMADR結成20周年をふまえ
反差別国際連帯活動をさらに強化しよう
「解放新聞」(2008.03.10-2360)

 反差別国際運動(IMADR)を1988年に結成してから20年を迎えた。結成総会は1月25日、東京・松本治一郎記念会館でひらかれ、「設立趣旨書」では「今日、われわれは過去のどの時代よりも、国際化が進んだ時代に生きている。このことは、とりもなおさず、一国での差別や人権侵害は必然的に他国にも波及することを意味しており、一国内での差別撤廃と人権確立は、全世界のそれと切り離ちがたく結びついているのである。さらに、過去の歴史が教えているように、平和の状態でのみ、人権が守られる」と記され、結成の目的として、全世界からいっさいの差別を撤廃し、人権確立を実現することが謳われた。
  それから20年、東西冷戦構造は崩壊、グローパル化のなかで富の一極集中と格差の拡大と固定化がおこなわれ、アフガニスタン侵攻やイラク戦争もひきおこされた。
  世界は一極集中する人びとの利益のための戦争が日常化され、平時と戦時の区別さえ失われている。自衛隊のイージス艦による漁船への衝突と沈没は、このなかでおこされたものであるといえる。
  国内でもこの間、「教育基本法」改悪、防衛庁の「省」昇格、.憲法改悪を狙う「国民投票法」が成立。「共謀罪」制定なども画策されるなど、戦争のできる国づくりへの歩みがおしすすめられており、IMADR結成の趣旨と目的はいま、まさに輝いている。

 IMADRは1993年、日本に本部をおく人権NGOとして国連との協議資格を取得、ジュネーブにも事務所を設置して国連機関へも働きかけ、大きな成果をあげてきた。国連人種差別撤廃委員会の「世系にもとづく差別に関する一般的勧告29(2002年8月)や、国連人権理事会に提出された「職業と世系にもとづく差別」問題に関する最終報告書(2007年11月)、「ドゥドゥ・ディエン人種主義・人種差別等に関する国連特別報告」(2006年4月)などにみられるように、国連諸機関への働きかけなどで、職業と世系にもとづく差別が国際的な課題として国連で論議や調査がおこなわれ、勧告がおこなわれたことなどがそれだ。
  また、第7回世界社会フォーラム(2007年1月・ケニア)では、アジア・アフリカ地域での「職業と世系にもとづく差別」に関する会議を主催し、スマトラ沖大地震・インド洋大津波(2004年12月)で、インドやスリランカの被差別民が大きな被害をうけ、政府などの支援から切り捨てられた状況のなかで、現地で、差別撤廃と新しい「ムラづくり」にとりくむ運動体と直接連携し、支援のカンパ活動などにとりくんだことは記憶に新しい。

 部落解放同盟では、IMADRと連携し、差別撤廃・人権確立にとりくむ、世界中のさまざまな人びとと交流・連帯をすすめてきた。支部、地協、都府県連もさまざまな独自のとりくみをおこなっている。
  日本はいま、戦争国家への道を突きすすもうとする国権主義・排外主義が台頭し、格差拡大、弱肉強食社会は差別と人権侵害を頻発させ、悪質化させている。こうしたときこそ、世界の差別撤廃・人権確立、反グローバリズムなどのさまざまとりくみと具体的に交流・連帯し、国際的な視野をもちながら、地域での闘いをおしすすめていかなければならない。
  日本での人権侵害救済機関の設立とあわせ国際的な人権救済機関の設立など、世界的な差別撤廃、人権確立、平和をめざす大きな枠組みの確立へ、世界の被差別マイノリティの闘いに学び、とりわけアジア地域での反差別連帯行動を追求していこう。
  IMADR結成20周年をふまえ、地域でのとりくみを積み重ね、「世界人権宣言」60周年のこの年に、反差別国際連帯活動をさらに具体化・強化しよう。

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