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部落問題資料室
NEWS & 主張
22年にわたり差別
「生まれが違うんじゃ」
結婚直後から暴行とともに

「解放新聞」(2008.05.12-2369)

 【兵庫支局】「生まれが生まれ、出身が出身やからひがみやすいんじゃ」「おまえの股ぐらから出てきた子なんか、恐ろしくて、だれが跡継ぎにするかい。生まれが違うんじゃ」。こうした差別発言とともに暴行を22年間にわたって受けつづけてきたA差別事件が、4月13日、徹底糾弾総決起集会――部落解放第15回「婦人の集い」で報告された。主催は三田市支部連絡協議会(三田支連協)で、会場の三田市総合福祉保健センターには、同盟員、共闘、市民など250人が参加、断固として許さないとりくみをすすめることを、あらためて確認しあった。

糾弾総決起集会もち報告

 坂本三郎・三田支連協議長は主催者あいさつで、被害者の女性のお父さんが昨年他界され、そのとき「おれは悔しいんや。娘の結婚が結婚差別をなくすきっかけになればと、つらいこともあるだろうけど、がんばれと娘にいってきた。しかし、ここまで差別されて、もうこれ以上、娘や孫を預けてはおけない。なんとか彼を糾弾して、まっとうな人間にしてほしい。口惜しい」とのことばを残されていたことを報告。この思いに心を寄せるとき、たんに当人だけの問題にしてはならない。なぜ、このような問題がおこったのかをしっかり確認し、人が人として生まれてきてよかったと思えるまちづくりを、解放同盟が先頭を切ってすすめよう、とよびかけた。

おとうさんにわからせてほしい
 会場からも、「私はいいねんけど、おかあさんがかわいそう。おとうさんにわからせてほしい」という子どもの声とともに「子をもつ親として許せない。震えるほど怒りがこみあげてきた」「孫の代に残すまいとがんばってきたが、こんな事件がおこるとは、本当に悔しい」など、差別への怒りの発言があいついだ。
 また、昨年12月に発生した、集会所前に「エタ死ね」などと書かれた18枚の差別ビラ事件も報告された。
 集会では、竹内英昭・三田市長、大澤洋二三田市教育長、赤松賢宥・県連委員長などから、差別根絶への決意も表明された。

積極的なとりくみを求める
坂本統制委員長が三田市議会で質問

 【兵庫支局】坂本三郎・県連統制委員長(三田市議)は3月7日、三田市議会定例会3日目の個人質問で、昨年12月11日に発見された悪質な差別ビラにたいする具体的な対策や、新年度の組織改正により人権政策をどのように充実させるのかなどについて、市当局に訴えた。
  坂本統制委員長は、昨年12月の差別ビラは、「部落差別はもちろん、障害者差別や在日外国人差別を繰り返し、これまで積みあげてきた教育啓発活動にたいする挑戟」とし、「子どもたちも目にしていて、心に深い傷を負っている。もう差別はない、昔のことやという人もいるが、このような差別の事実にどうこたえてくれるのか。残念で悔しい。このほかにも、差別ハガキやインターネットによる差別書き込み、行政書士と興信所による戸籍謄本大量不正取得事件など、差別事象は枚挙にいとまがない。いつまでこんな不合理な差別を受けなければならないのか。市民一人ひとりが考えなければならない」と訴えた。

差別を許さない闘いを
三田市で差別事件あいつぐ

 【兵庫支局】三田市支部連絡協議会(三田支連協)がひらいた徹底糾弾総決起集会でとりあげられた差別ビラ事件とA差別事件、関連した坂本三郎・県連統制委員長の三田市議会での質問を掲載する。

「部落のくそ人間」など
18枚の差別ビラ事件

 差別ビラ事件は、昨年12月11日、三田市内の集会所の玄関で発見されたもの。この悪質きわまりない差別ビラは、B5判の用紙18枚にわたって書かれ、風で飛ばないように重石が置かれていた。通報したのは、大人だったが、そこは子どもたちが登校するときの集合場所でもあり、数人の子どもが見ていた。
  ビラには、「死ね」「部落」「部落のアホ これ読んだらかしこなるは」「何が開放学級じゃアホぬかせこのボケ」「○○(地名)は害児ぽっかりや」「ずっと差別の中で生きろ」「○○部落 同和 在日 帰れ」「部落ノクセニデカイ顔シテ町歩クナ コノドアホ」「部落のくそ人間」などと書き連ね、最後の18枚目には「感想書いて提出や」と書きなぐってあった。
  三田支連協では、これまでに共闘団体や市当局と対応を協議してきたが、いまだに犯人を特定するにはいたっていない。犯人の動機は不明だが、ビラでは部落差別や障害者差別、在日外国人差別を助長する内容が繰り返されており、明らかに私たちの運動への挑戦であるとし、「私たちは、この事件を断じて許さず、部落差別がいまもしっかり生きていることを再確認し、部落差別根絶なために徹底して闘い抜こう」と訴えている。

妻と子に暴言・暴力22年間
A差別事件の概要

  三田市で22年間にわたり妻や子にたいして、差別発言や暴行を続けていたきわめて悪質な差別事件が、04年に被害を受けているAさんの告発で明らかになった。(2218号に既報)
  部落出身のAさんは、1982年に夫Bと結婚。数か月後からBの暴言、暴行がはじまった。Bは暴行だけでなく、結婚当初から給料の一部を生活費として渡した後はすべて自分で使っており、Aさんがパートで得た収入で子どもの学費や保険料などの生活費を補ってきた。
  Bは暴れ出すと必ず、Aさんにたいし、「生まれが生まれ、出身が出身やからひがみやすいんじゃ。争いごとが好きな集団やからのー。束になってかかってこんかい」「おまえの股ぐらから出てきた子(1男)なんか、恐ろしくて誰が跡継ぎにするかい。生まれが違うんじゃ」などの差別発言を浴びせ、つばを吐きかけたり首を絞めるなどの暴行を続けてきた。Aさんは子どものために「自分さえ辛抱すればいい」と、ずっとがまんし続けてきた。
  また、Bが暴れるたびに、発熱し調子を崩す子どもにたいしても、「誰のおかげで学校に行けると思ってんね。息するな。おまえがおること自体が人生最大の汚点じゃ」などと罵声を浴びせ、内出血を起こすほどの暴行を加えていた。子どもも「お母さんも辛抱しているから」と誰にもいえずにがまんしてきた。
  三田市連協は、この事実を夫婦間・家族の問題で片づけられない許しがたい行為であり、重大な差別事件であると判断。Aさんと子どもたちへの心のケアなどの支援を続けると同時に、Bに事実確認会への出席を要請してきたが、Bは弁護士を代理人に立て、出席を拒否し続けている。


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