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部落問題資料室
NEWS & 主張
「ハンセン病問題基本法」が成立
100万署名運動を力に

「解放新聞」(2008.06.23-2375)

求められる地域に位置づいた将来構想の策定

法律上の障害は取り除く
  「ハンセン病問題の解決の促進に関する法律」(ハンセン病問題基本法)が6月6日衆議院本会議で可決、6月11日、参議院本会議で可決、成立した。衆議院は全会一致。
  「ハンセン病問題基本法」は、ハンセン病療養所の将来構想をすすめる会が各界によぴかけ、100万人署名運動にとりくみ、求めてきたもの。
  部落解放同盟も積極的にこの署名活動にとりくむことを決定、署名活動をおこなってきた。
  全国13か所の国立ハンセン病療養所では08年5月現在で2717人が暮らしており、その平均年齢は79.5歳。各療養所の死亡率などから10年後には入所者はさらに激減することが推定される。
  入所者が減少すれば医師も来なくなり、医療施設として存続することができなくなり、少数の入所者だけが地域社会から孤立して生活させられ、ふたたび「隔離」する施設となる。
  入所者が終生、安心して生活する場とするためには、療養所を多目的な施設とし、地域や社会にひらかれたものにする必要があり、それは療養所を隔離から解放することにもつながるため、被害回復と地域や市民に広くひらかれた療養所とする法律制定を求めてきた。
  「法」制定で「将来構想」への法律上の障害は取り除かれたものの今後、各療養所ごとに地域にひらかれた地域に位置づいた将来構想を策定していく作業が地域社会の課題として提起されている。

問題の解決の促進図るため
  「ハンセン病問題基本法」は前文で、国の隔離政策に起因する身体、財産、社会生活全般にわたる被害の回復には、未解決の問題が多く残されており、地域社会から孤立することなく、良好かつ平穏な生活を営むことができるようにするための基盤整備は喫緊の課題であり、偏見と差別のない社会の実現に向けて、真撃に取り組んでいかなければならない。福祉の増進、名誉の回復等のための措置を講ずることにより、ハンセン病問題の解決の促進を図るため、この法律を制定する。
  第1条の趣旨では、基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、ハンセン病問題解決の促進に関し必要な事項を定める。
  第3条の基本理念では、①被害回復②孤立することなく安心して豊かな生活③差別や権利利益を侵害する行為をしてはならない。
  第4条と第5条では、国と地方公共団体が基本理念にのっとり、ハンセン病の患者であった者等の福祉の増進等を図るための施策を策定し、及び実施する責務を有する。
  第6条では、国は、ハンセン病問題に関する施策の策定及び実施に当たっては、ハンセン病の患者であった者等その他の関係者との協議の場を設ける等これらの者の意見を反映させるために必要な措置を講ずる。
  第12条で、地域社会から孤立せず、良好な生活環境の確保を図るため、国立ハンセン病療養所の土地、建物、設備等を地方公共団体又は地域住民等の利用に供する等必要な措置を講ずることができる。これらの措置を講ずるに当たっては入所者の意見を尊重しなければならない。など、それぞれ定めている。

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