pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
内定者から本籍など収集
指摘うけ全書類見直す
「見ようとする意図あった」と

「解放新聞」(2008.07.21-2379)

話しあいもち中間総括とし
  【岐阜】高校新卒採用内定者149人=50校に07年2月、家族の状況(異動)届出書を送付し「本籍」「家族の職業」「不具廃疾の事由」などを記入させ、3月の入社前研修で回収しようとした1部上場企業Ⅰ社との話しあいを7月2日午後、本社のある岐阜県大垣市内の情報工房「ソフトピアジャパン」でおこなった。(事件は2325、23372348号既報)
  Ⅰ社は話しあいで、岐阜労働局からの指導をうけ、①グループ会社もふくめた人事に関するすべての書類を点検し、多数の書類を改正②公正採用選考人権啓発推進員を増員し人事担当責任者を追加登録③社内に「基本的人権推進委員会」を設置④各種法改正を情報収集する仕組みを構築したことを報告。本籍などの個人情報を収集していたことについても「社用紙作成時から見ようという意図はあったということだと思う」との認識を示した。

社長の決意表明を要請
  部落解放同盟からは、見ようという意図をもって収集する書類を作成し、それを長い間使用し、慣習という名のもとで差別をしてきたことの反省のうえに立って全社的に変わっていくためにも、企業のトップである社長の決意を文書で明らかにすることを要請し、とりくむ方向を確認した。
  Ⅰ社は仕組みを作ったら会社の風土が変わるかというとそれだけでは変わらない。社内研修もすすめ、全員で意識を変えようと人権啓発にとりくむ決意をあらためて表明した。
  部落解放同盟は、今回の話しあいでⅠ社から4項目の改善が示され、調査そのものが差別との共通認識ができたことを評価。今後、社長の声明など全社的とりくみを見守り、今回の話しあいを中間総括とすることとした。
  許しあいには、中央本部から西島書記次長、岐阜県連から石井輝男・委員長はじめ役員と支部代表など17人、三重県連、滋賀県連の代表らが参加。Ⅰ社からほ常務執行役員ら4人、岐阜労働局、大垣市も出席した。

受験報告スリ抜け
内定後の個人情報収集で
  昨年、新規高卒採用内定者から本籍などの情報を2月にⅠ社が収集しようとしたことが発覚したのは、滋賀県内の高校からの指摘が発端。調査の結果、Ⅰ社の本社のある岐阜県をはじめ、滋賀県、愛知県、三重県の50校、149人におよぶことが明らかになった。
  記入させようとした「家族の状況(異動)届出書」の原型は1960年代に作成され、その後、2回の見直しにもかかわらず「本籍」「家族の職業」「不具廃疾の事由」などの項目が残されたままだった。
  この「届出書」がこれまで発覚しなかったのは、内定後に提出させていたためで、受験報告書をスリ抜けていた。このため、採用内定後についても受験報告が機能する体制を整える必要があることを岐阜労働局に指摘。採用内定した生徒に記入を求める場合は、同時に当該学校へも社用紙などを送付するよう徹底することになり、三重、滋賀でも内定後のチェックをおこなうことになった。
  これまでにⅠ社が収集してきた不適切な個人情報データについては、現在、社内で厳重に保管されており、岐阜労働局立ち会いのもとで廃棄し、確認することになった。
  さらに、企業内公正採用選考人権啓発推進員制度がまったく機能していなかった現実が判明。研修会出欠のチェックを事業所だけでなく、推進員の名前と照合し、欠席や代理の場合は個個に強く出席勧奨していくことになった。
  また、ハローワーク職員の公正採用選考に関する研修の徹底・浸透をはかり、今回のⅠ社の事案を事例とした研修やリーフレットの作成などにもとりくみをおこない、周知・啓発・指導をおこなうことを確認した。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)