pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

機関紙活動をさらに強化、
拡大していこう
「解放新聞」(2009.03.02-2409)

 日本ではじめて活版による日刊新聞が発行されたのが1870年だった。その経過はこうだ。
  活版印刷は、世界に革命をもたらした。というのは、繰り返し使える「活字」を利用して、一度に大量の書籍や新聞などを印刷し、配布することができるからだ。中国からはじまり、遅れて西洋の世界でも活版印刷が発展した。ごく一部の人たちしか読むことのできなかった書物が、安い値段で売られることで、さまざまな考え方、思想や論理も流通し、国民国家形成の一つの基礎ともなった。
  日本では崩し字を活字にすることが困難なこともあり、長く木版の時代が続いたが、1869年に西洋技術の輸入によって和字鋳造がはじめられ、大阪、東京、横浜に活版所が設けられ、翌年からの活版による日刊新聞の発行につながった。
  ニューメディアとしての当時の新聞は、1871年から府県がスポンサーとなって日刊紙として発行された。その意図は、「新政権のめざす諸政策の啓蒙・普及」であり、公文(政府による公式の布告文)を上意下達的に広めるための、政府による、政府のためのプロパガンダ紙であった。
  現在のような、「民意をもとにした世論形成」「世界の出来事を編集することで読者に知らせる」という商業新聞が発達してくるには、まだまだ時間が必要だった。

 こうしたニューメディアとしての新聞を、自分たちの政治主張を読者に伝え、なおかつ購読料を集金することで新聞の再発行と党運営資金にもいかす、という機関紙活動が、ロシアの革命家、レーニンにより定式化された。
  この流れを受けて、日本でもさまざまな政治主張をおこなう新聞が発行された。全国水平社も、機関紙誌を発行し、みずからの主張を発信し続けた。しかし、それは苦難の歴史でもあった。ごく少人数の事務局、編集局体制のなかで、記事を集め、主張を書き、編集・発送作業をおこなわなければならなかった。しかも、権力による弾圧は過酷をきわめ、新聞発行さえままならない事態がしばしば訪れた。
  このようななかでも、先輩たちはみずからの闘いの情報を発信し続ける努力をおこたらなかった。
  こうした歴史を引き継ぎながら、いまの私たちがあるのだ。

 部落解放同盟の機関紙「解放新聞」は、現在、週刊で発行している。同盟員の全国的絆をつくり、同盟内外のさまざまなとりくみを発信している。それにとどまらず、機関紙は、運動の顔であり、部落解放運動がこの社会のなかで、何を主張し、どのような方向をめざしており、どのような問題――政治、経済にとどまらず、思想や文化民俗など幅広い学問領域も含めた問題――に関心をもち、それらの変革をめざし、多くの人たちと協働の作業をめざそうとしているかを、発信し続けている。
  昨年末の読者アンケートでは、「解放新聞」に期待する多くの声とともに、「中身の濃い真面目な新聞」「他紙では分からないこを教えられる」などの励まし、「各支部の具体的とりくみを」「歴史を振り返る記事が大切」「文字を大きく」「もう少し明るい色に」などの要望も寄せられている。
  さまざまな要望に紙面改革というかたちで応えながら、機関紙活動を本部―都府県連―支部段階でさらに強化し、(配布―集金―拡大―活用)という機関紙活動の基本をおさえるとりくみを徹底していくことがなによりも必要だ。
  各都府県連でも、新聞が出ていないところは発行を、出ているところは内容の充実と発行期間の短縮をめざし、活動をすすめていこう。
  「よき日」のために、機関紙活動のいっそうの強化、拡大へ奮闘しよう。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)