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見解

 

狭山再審を求める市民集会アピール

 

 

 40年前のきょう、東京高裁の寺尾正二裁判長は、石川一雄さんに無期懲役判決をおこなった。「そんな判決は聞きたくない」と叫んだ石川さん、無罪判決を信じてわが子の帰りを待っていた石川さんの両親、家族の無念と怒りをわたしたちは忘れない。この有罪判決がいまも石川さんに「みえない手錠」をかけている。

 しかし、第3次再審請求において、これまで130点以上の証拠が開示され、寺尾判決の誤りがつぎつぎと明らかになっている。裁判所の勧告で、事件から47年目にしてはじめて証拠開示された石川さんの逮捕当日の上申書は、脅迫状と筆跡も筆記能力も異なることが明らかだ。犯行に使われた手拭いが石川さんの家のものではないことを明らかにする新証拠も証拠開示によって発見され、捜査の不正さえ浮かびあがっている。さらに、証拠開示された捜査報告書は、鞄や腕時計が警察によってねつ造された疑いを示している。開示された取調べ録音テープとそれを分析した心理学者の鑑定は重大な新証拠だ。死体がどうなっていたのか、鞄や教科書がどう捨てられていたのか、石川さんがまったく知らず、取調官らが誘導してウソの自白をさせたことが録音テープで明らかになった。筆跡が同じであることが有罪証拠の主軸だとし、捜査に不正はなく自白は信用できるとした寺尾判決は大きく揺らいでいるのだ。証拠開示と科学的鑑定によって40年前の寺尾判決の誤りと石川さんの無実が明明白白になっている。いまこそ、弁護団が求める徹底した証拠開示と事実調べがおこなわれなければならない。

 狭山事件の第3次再審請求を審理する東京高裁第4刑事部の河合裁判長は検察官に証拠開示を促しているが、検察官は開示におうじようとしていない。しかし、検察官だけが、裁判に出さなかった証拠をすべて見て、出す出さないを決める権限をもち、弁護側は証拠の内容さえわからないなどという実態はだれが考えても不公平・不公正ではないか。捜査で集められた証拠は検察官の独占物ではない。真実発見のための公共財産であるはずだ。袴田事件では、検察官がこれまで存在しないと言ってきた写真ネガが見つかったとして、これを使って弁護側に対する反論の意見書を出してきた。このような不公平・不公正を市民は許さない。検察官が意図的に隠してきたとしか言いようがない不正である。足利事件や布川事件の教訓は、冤罪をなくすために検察官手持ち証拠の開示と鑑定人の尋問などの事実調べが不可欠だということである。わたしたちは、狭山事件においても袴田事件においても、検察官の不当・不誠実なやりかたを断じて許さない。

 石川さんは51年以上も冤罪を叫んでいる。寺尾判決から40年、多くの新証拠が明らかになってきたにもかかわらず、一度も事実調べがおこなわれていないのだ。

わたしたちは、東京高裁の河合裁判長が、狭山事件の第3次再審請求において、再審制度の理念とこの間の冤罪の教訓をふまえ、証拠開示、証拠リストの開示を積極的にすすめ、鑑定人の尋問をおこなうよう強く求める。東京高検が証拠物のリストを開示するよう求める。検察の不当な抗告に抗議し袴田事件の再審開始を求める。そして、冤罪根絶にむけて、すべての冤罪者や支援者、司法の民主化を求める運動と連帯し、取調べ可視化や証拠開示の法制化を実現する闘いを全力ですすめる。

 映画「SAYAMA」の上映運動をすすめ、一日も早く石川さんの「みえない手錠」をはずすために、狭山事件の再審を実現しよう!

2014年10月31日
狭山事件の再審を求める市民集会 参加者一同

 

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