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部落問題資料室
NEWS & 主張
結婚相談事業などで交渉
富山県 提示の新申込書案は6項目に

「解放新聞」(2010.02.22-2458)

 【富山】県連と北陸事務所は1月21日に富山県、富山労働局と、翌22日に石川県と交渉し、中央本部からは、西島書記次長、池田中執、田川中執らが参加した。富山県、石川県との前回の交渉(昨年5月)は2426号で既報、富山労働局との前回の交渉(08年11月)は2399号で既報。

啓発など重要
県が認識を示す
  富山県交渉は1月21日午後、富山市内の富山県民会館でひらいた。富山県からは、生活環境文化部の五十嵐信夫・次長をはじめ10人が出席。①昨年10月の部落視察(2446号既報)をふまえた県の姿勢②富山県
結婚相談所など公的機関の結婚相談事業をめぐる問題③市町村での「人権教育・啓発法」具体化などで現状を聞き、意見交換した。
  ①では、富山、高岡の両市内の部落を視察し、五十嵐次長は、空き屋や空き地が多い、防災上、防犯上の心配がある、と回答。部落解放同盟が検討を要請していた滑川市のとりくみ事例(空き屋がある土地を寄付してもらって市有地とし、市が空き屋を撤去する方法)も参考に、両市に改善を伝えた、とも語った。また、部落問題はけっして過去の問題ではなく、教育・啓発が重要との認識を示した。
  同盟からは、同和地区問い合わせ問題(08年9月、小矢部市)やインターネット差別書き込みなど差別の現実を積極的に把握し、教育・啓発に生かすように要請。庁内連絡会議や交渉に財政当局も加え、予算面も抜本的充実を、と求めた。
  富山県結婚相談所の「結婚相談申込書」問題では、今年1月15日、県はようやく97年の全社協・厚生省(当時)の指導通達にそって6項目の記載欄にした申込書を、案として提示。滑川市、小矢部市、上市町の各社協の同様の問題についても、昨年暮れに担当者・相談員と検討し、この案で合意した、とした。
  部落解放同盟からは、どこに問題があり、どういう認識であらためるか、整理して現場まで共通認識にすべき、と指摘。また、相談員が成果をあげようとするほど、結婚をめぐる差別的な社会意識にそって、差別撤廃や、個人情報保護の責務から逸脱する危険性を指摘し、そもそも事業の目的は何か、行政がするべき事業か、など、根本的な議論も求めた。
  「人権教育・啓発法」の市町村での具体化については、県は、教育と啓発の両分野を明確に分けた施策策定は富山市だけ、10月の会議で「基本計画」策定や総合計画に項目を盛り込むように市町村に話し、また、各市町村長あてに12月に文書で依頼、と報告。部落解放同盟からは、法制定からすでに10年、いまだに責務を果たさない市町村の実態を厳しく問い、とりくみを訴えた。

違反の分析を
富山労働局に要請
  【富山】労働局交渉は1月21日、富山労働総合庁舎でおこなった。局側からは山本秀一・職業安定課長をはじめ4人が出席。①公正採用選考人権啓発推進員の実態②県教委の就職試験実態調査の精度アップなどで意見交換した。
  推進員については、違反事業所の多くが推進員設置事業所であり、違反企業の分析を再度要請、また、研修会でのアンケート結果から、推進員の役割を理解していない推進員がひじょうに多い現実もわかり、改善を求めた。
  公正採用選考違反の実態把握について、労働局側は、県教委から連絡のあった不適正事案が、09年度(1月20日現在)は17社(県内14社、県外3社)35件、と答弁。部落解放同盟からは、隣の石川県での実情把握と大きなひらきがあることから、石川労働局とも意見交換するよう求め、検討する、との回答をえた。

偏見植え付ける研修
石川県の姿勢ただす
  【石川】県交渉は1月22日午前、石川県庁でひらいた。石川県からは、荒井仁志・総務部長、橋本満・人権推進室長ら4人が出席。①県人権推進室職員が講師を務めた市町村職員初任者研修(09年5月13日)問題②(財)いしかわ子育て支援財団の結婚相談事業問題③民生児童委員の人権・同和問題研修にかかわる一連の問題、で意見交換した。
  ①は、受講者から「同和問題(団体)はこわいという印象を与えるだけになり、講義内容に違和感を覚えました」という情報が北陸事務所によせられ、発覚したもの。県は、受講者アンケートを入手し、同内容の感想をよせた人がいたことは確認したが、なぜこんな感想を感じたか、背景の究明と研修の充実には不誠実な姿勢をとってきた。交渉では、県の姿勢を厳しくただし、受講者の感想を積極的指摘としてとらえて力点を置き、この研修で「物いわなかった」受講者たちに県主催で再研修し、研修で植え付けた差別意識を克服すべきことを求め、県は検討を約束した。
  ②では、昨年5月の交渉後も、97年の全社協や厚生省(当時)の指導通達に違反したまま、社会の差別意識に乗じた運営状態にある現実をすぐ是正するよう、指摘。けっして年度をこえない実行を求めた。
  ③は、県が県社協に委託している民生児童委員の研修会について、まず06年度、当時の民生児童委員連合会会長が部落問題にふれて「下手なこと、めったなことはいわないほうがいい」という趣旨の発言をした問題について事実解明がすすんでいない現状がある。そして昨年度の同研修会(3月18日)でも、県人権推進室職員の部落問題にかかわる講演について「予断を与える説明で疑問を感じた」と受講者から情報がよせられたもの。昨年の講演は県社協がテープに録音していたが、今回の交渉で県は「録音してくださいとは委託していない」などと内容の検証に不誠実な姿勢を表明、部落解放同盟から「県の委託研修で県職員が公務で講演したのに、県は何もできないのか。あなた方は第三者ではなく当事者」「テープを聴かせてください、とはいえる」など、多くの指摘があいついだ。


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