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部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

部落解放文学賞の授賞式近づく。
文化活動のいっそうの興隆を

「解放新聞」(2010.07.12-2477)

 今年も第36回部落解放文学賞の授賞式の日が近づいてきた。入選なさった方、惜しくも入選は逃したけれども佳作との評価を得られた方がたは、どんなにかその日の来るのを待ち望んでいらっしゃることだろう。
  今年の状況は識字部門(応募者数34、入選2人、佳作1人)、詩部門(応募者数61人、入選1人、佳作4人)、小説部門(応募者数12人、入選0人、佳作3人)、評論部門(応募者数7人、入選0人、佳作0人)、記録(応募者数6人、入選1人、佳作0人)、戯曲(応募者数5人、入選0人、佳作0人)という結果だった。
  都合、応募者総数は125人で入選は4人、佳作は8人ということだが、この数字をみるかぎりきわめて残念の感を禁じ得ない。今年がたまたまそうなっただけならいいのだが、なかでも識字部門の応募者数の減が目立っているように思われる。
  近く中央本部の協力のもとに、識字学級の実態調査もおこなわれる予定になっているのだが、調査結果を待つまでもなく、ここのところ各地からの報告があいついでいる隣保館や老人憩いの家などの閉鎖のあおりを受ける形で、識字学級活動の衰退が明らかになってきているのだろうか。
  だが、識字の火、しいては部落の文化活動の火だけは断じて消してはならない。

 何よりも部落差別の現状には、きわめて根強いものがある。全国水平社以来、88年を数えるにいたった今日なお、われわれ部落民を忌避し排除しようとする人びとの情動はまるで止むことがないようなのだ。差別文化は引きも切らないというべきか。
  いま現在、中央本部が主要にとりくんでいる土地差別調査事件1つをとってみても明らかなように、この国の文化は、いまだなお部落民排除のうえに成り立っているとしかいえないのだ。いや、考えてみるまでもなく明らかなように、人間が文化の段階に入って以降というもの、人はうちつづく差別のなかを生きてこざるを得なかったのだった。

 だが、この部落解放文学賞もまたそうであるように、人びとはそんな差別社会のなかにあっても差別に異議を唱え、反差別の文化を営えいとして紡ぎ出しつづけてきたのだった。支配文化に抗う対抗文化の創出、それこそ水平社の宣言や綱領がいうように、「人間の冷たさ」をよく知っているわれわれであればこそ、その文化活動をとおして「人類最高の完成」を人びとに訴えつづけていかなければならないのだ。

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