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部落問題資料室
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主張

 

人権保育研究集会を成功させ実践・現実の集積で保育運動を豊富化させよう

「解放新聞」(2010.11.08-2493)

 被爆65年という節目の今年、「核兵器のない世界の実学へ向けて大きな一歩を踏み出す年だ。この節目の年に、改称後2回目の全国人権保育研究集会を反戦平和を世界に発信する地・広島(福山市)でひらく。
  自公政権がおしすすめてきた政策は、社会的格差と貧困を拡大し、固定化しつつある。部落内でも例外ではない。青年が部落から流出する傾向が強く、コミュニティバランスが崩壊している地域も増えている。その流れなどで、旧同和保育所も部落の子どもが少数になっているところも多くみられる。こうした現実を直視し、これまで積みあげてきた経験を、すべての子どもの育ちをみんなで豊かに支えていく人権保育運動として、深化・発展させていく集会としなければならない。同時に、そのような現実を把握し、「皆保育」の理念を柱とした要求を政府了与党に提案していく集会としなければならない。


 解放保育運動は、被差別部落の子どもや親の実態から出発した。差別に負けず、差別を見抜き・許さない子どもに育ってほしいという願いから、さまざまなとりくみをすすめてきた。そのとりくみは、1人ひとりの子どもたちと、親の生活・地域の課題へとつながり、地域ぐるみの子育てとして、たしかに位置づいた。
  しかし一万、児童虐待や想像しがたい殺傷事件など、高度情報化社会と個人主義社会のひずみは、社会的・肉体的に弱い立場にある子どもへと押し寄せている。また、物的飽和状態にある日本社会は、子ども自身の苦労や我慢の経験を奪い去り、解放保育がめざすべきものと逆行する潮流も生み出している。認め合い、支え合うという価値観が乏しくなりやすい社会状況がある。こういった状況のもと、旧同和保育所だけで解放保育運動をすすめ、差別に怒りをもち、生きる力を積みあげたとしても、差別問題は解決しない。
  人権や差別の問題はすべての地域で必要だ。なぜならば、だれしもが、加害者や被害者になる可能性を秘めているからだ。部落差別をしなくとも、他の差別を自覚のないままにおこなっているケースは多くある。また、差別を許さない人権尊重の価値観を育てることも不可欠だ。格差が拡大し、固定化されつつあるなかで、解放保育が大切にしてきた「人権を大切にする心を育てる保育(教育)」はますます重要であるということを共有できる場としたい。

 日本は少子化という問題を抱えている。また、非正規労働者が3分の1を占める雇用体系が確立され、子どもたちにとっても明るい未来は描きにくい。解放保育運動は、具体的には、子どもの生きる権利として、その成長を保障するとりくみをすすめてきた。その実践が、いまこそすべての地域で必要とされていると重く受け止めたい。
  本集会は、昨年の参加者の意見を参考に、旧来型に戻してみた。各地の実践や現実が集積され、保育運動の中身を豊富化できる場としよう。積極的な参加をお願いしたい。

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