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部落問題資料室
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来年の通常国会で「人権侵害救済法」制定を必ず実現しよう

「解放新聞」(2010.11.29-2496)

 6月24日に公示された参議院選挙は、7月11日に投開票がおこなわれ、菅総理の唐突な消費税発言などで民主党が大敗し与党の過半数割れが生じるという結果を招いた。
  この選挙結果は、衆参の「ねじれ国会」現象を引き起こし、政権与党にとって国会運営がきわめて厳しい状況をつくり出している。当然のことながら、「人権侵害救済法」の制定も難しい局面を迎えたことは疑う余地がないところである。
  この難局面を切りひらくためには、民主党「人権議連」の活動強化を要請し、政権与党の強固な意志を形成して早期法案提出が可能となるような条件整備に尽力することが決定的に重要である。同時に、私たちの従来からの基本姿勢である可能な限りの超党派合意を形成するために「人権政策懇話会」(民主党・社民党・国民新党・自民党・公明党の有志で構成・略称「人権懇話会」)の活動をさらに強化して与野党を超えて法の早期制定に向けた多数派形成をはかっていくことが不可欠である。


 11月1日に開会した第176臨時国会は、12月3日までが会期となっている。私たちは、「この臨時国会中に法案提出への準備作業を終えて、来年の通常国会での成立をめざす」という方向を求めてきた。
  10月21日の参議院法務委員会で、前川清成・議員(参・奈良選挙区)が柳田法務大臣の所信表明に関連して「人権侵害救済法の提出時期」について質問した。これにたいし、黒岩法務政務官(衆・新潟3区)は、「名称はまだ検討中なんですけれども、その新たな人権救済機関の設立等を目的とする法案、これについては当然今提出をめざす方向で、そして関係省庁、内閣府等との調整もありますけれども、もう速やかにすすめてまいりたい」と答弁した。柳田法務大臣は「法務省としても必要なものだと、そういう認識でございます。過去の国会審議もいろいろ聞かせてもらっておりまして、今の国会の状況を考えますと、与野党間の協議も大いにすすめてもらえれば有り難い」と答弁をしたところである。しかし、「法」制定に向けての異体的な道筋はまだ明確になっていない。

 この段階で、政権交代以後の「法」制定に向けたとりくみの到達点を確認するとともに、参議院選挙後の新たな政治局面のもとでの今後のとりくみ課題を明確にして、あらためて管政権の「法」制定にたいする基本姿勢を問い直しながら、1日も早い「法」制定へのとりくみを強化していかなければならない。
  民主党を中心とした連立政権のもとでの「人権侵害救済法」制定に向けたとりくみの到達点は、現時点ではつぎの3点であるといえる。
  ①2月3日の参議院本会議での松岡議員の代表質問にたいする「法案の早期国会提出への努力」との鳩山総理の答弁が菅政権でも基調として継続していること。
  ②6月22日、千葉法務大臣が記者会見で「新たな人権救済機関の設置について(中間報告)」(法務省政務三役)を公表したこと。
  ③国会提出法案の討議をおこなう場としての民主党「人権議連」が発足し、超党派「人権懇話会」の再編強化がはかられていること。
  私たちは、この3点を到達点として確認しながら、これを後退させることなく今後のとりくみをすすめていくことである。すなわち、「法案の早期国会提出」が現政権の基本姿勢であり、その法案の中身についても検討要素が多多あるが法務省政務三役の「中間報告」として公表された。問題は、参議院選挙後に現出した困難な政治局面のもとで、与野党が協議をはかりながらどのように闇法として仕上げていくかである。とりわけ、政権与党である民主党が法案策定への真剣で責任あるとりくみをおこない、各党の合意を取りつけることができるかということである。その意味で、民主党「人権議運」と超党派「人権懇話会」の果たす役割は大きく、その活動強化を促すとりくみを徹底的に強めていくことが成否の鍵を握ることになる。

  私たちは、11月29日に星陵会館で人権侵害救済法の早期制定を求めて「2010年度部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会」をひらくことにしている。そこでは、闘いの困難な現状を具体的に認識したうえで、つぎのとりくみの基本方向を全国の各界各層の人びとと確認し合うことである。
    ①秋期臨時国会の期間中に法案提出への準備を促進し、来年の第177通常国会での成立をめざすとりくみをすすめること。
  ②民主党「人権議連」との定期的な意見交換会の場を設定するとともに、政権与党の中枢機関にたいする要請行動を強化すること。
  ③超党派の「人権懇話会」の構成を現在の民主党・国民新党・社民党・公明党・自民党の枠組みからさらに拡大し、各党の参加議員の増員強化をはかるとともに、与野党各党内での賛同議員の拡大を要請していくこと。
  以上のような基本方向を具体化するために、各界各層から各党・各国会議員への強力な要請行動を展開する体制をつくり、来年1月からの通常国会開会期間に集中した国会内外でのとりくみをすすめていかなければならない。
  具体的には、中央実行委員会構成団体を中心に、「国会対策本部」を立ち上げ、適宜中央集会や統一要請行動を実施していくことと併行して、中央実行委員会構成団体ごとの独白要請行動ならびに都府県段階を中心とした地域実行委員会ごとの独白要請行動や中央集会を展開していくことである。
  11月29日の中央集会と要請行動を成功させ、来年の通常国会で、困難な政治局面を打ち破りながら、長年にわたって求め続けてきた「人権侵害救済法」の早期制定を必ずや実現しよう。

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