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部落問題資料室
NEWS & 主張
処刑100年に院内集会
大逆事件見つめ司法改革へ

「解放新聞」(2011.02.28-2508)

 大逆事件から100年。大逆事件は天皇暗殺を企てたとしてひと月ほどの裁判で12人が死刑。12人が天皇恩赦で無期懲役にされた事件。判決から6日後の1月24日に幸徳秋水ら11人が処刑され、翌25日は管野スガが処刑された。国家権力によるでっちあげは当初から明らかだったが、戦後になって大きく復権運動が起きた。死刑になった人たちやこの事件に連座した人たちの復権と顕彰がそれぞれの地元でとりくまれている。
  1月24日には、この事件を国政の立場から問い直そうと福島みずほ・社民党党首などがよぴかけて参議院議員会館で院内集会「大逆事件百年後の意味」がおこなわれた。約200人の市民が参加した。集会では、ルポライターの鎌田慧さん、大岩川嫩さん(「大逆事件の真実を明らかにする会」世話人)が講演したほか、各地で活動している人たちがこの事件の今日的意味について発言した。
  主催者の福島党首は、幸徳秋水が死刑の2週間前に平出修・弁護人にあてた手紙を紹介し「ここ至って何かいわんや。いう自由もない。百年後、私に代わっていってくれる者があるだろうと考えています」と書いている。この日の院内集会に意味を感じている、とのべた。
  鎌田さんは、これからの100年が問われていく。戦前からつづいている司法や警察のあり方を変えていく必要がある。そのための出発点とすべきだとのべ、事件は明治政府の社会運動への弾圧を目的とした大陸への膨張政策のあらわれだと指摘。単純明快なえん罪のストーリーである。彼らが掲げた反戦とヒューマニズムは継承されなければならない。この事件を期に事件を指揮した平沼騏一朗は、検事総長から司法大臣、首相へとのぼりつめていった。日本で一番遅れているのが司法改革だ。これをどのように変えていくのかが今問われている課題だ、と強調した。
  大岩川さんは、一番良心的な人たちがフレームアップされた。4人が生きのぴたが、世をはばかって生きてきた。これらの人たちの名誉回復は、日本国民全体の名誉回復でもある、とのべた。また、安田好弘・弁護士は、大逆事件以降一貫して検察が日本の政治、司法の中枢にいすわりつづけ司法支配がつづいている。検察を法務・司法の場から排除することが司法民主化への一歩だ、とのべた。

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