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部落問題資料室
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核兵器廃絶と脱原発社会の実現へとりくむ

「解放新聞」(2011.07.25-2528)

 福島第一原子力発電所の事故は、「原子力安全神話」を崩壊させた。炉心溶融(メルトダウン)や建屋の水素爆発などにより、大量の放射能がばらまかれ、事故の収束のめどもたっていない。津波による損傷だけでなく、地震による損傷がどの程度あったのかなど、事故の詳細もいまだ明らかになっていない。そして今後、廃炉までもっていくためには困難なハードルがいくつもある。放射能汚染もどこまで影響がひろがるのか、予断を許さない状況である。
  これまで原発の危険性は、原水禁運動のみならず多くの人びとから指摘されてきた。しかし、国や電力会社は、何重にも安全対策がとられているので安全だといい張ってきた。そして、今回の事故は、「想定外」の規模の自然災害によるものだといい訳をしている。
  しかし、過去の三陸海岸の30㍍をこえる津波の記録などをもとに、津波対策の不十分性は指摘されていた。だがその意見は「無視」されていたのである。また、原子力安全委員会の班目委員長は、07年2月の中部電力浜岡原発運転差し止め訴訟で、複数の非常用発電機が起動しない可能性を問われ「そのような事態は想定しない。想定したら原発はつくれない」と発言している。さらに、原子力安全・保安院の寺坂院長も「そういうこと(すべての電源喪失)は、あり得ないだろうというぐらいまでの安全設計をしている」と昨年5月に国会(経済産業委員会)で答弁している。
  つまり「想定外」ではなく、「想定しない」「無視する」ということなのである。このような恐るべき論理に支えられた「安全神話」によって、国策として原発が推進されてきたのが現実である。この「安全神話」のウソが明らかになったいま、脱原発への歩みを確かなものにしなければならない。

 現在、鎌田慧さんや瀬戸内寂聴さんら著名人9人がよぴかけ人になって「さようなら原発1000万人署名」の運動がはじまっている。この署名のかかげる要求は、①原発の新設を止め、全国にある原発の計画的な廃炉をすすめる②もっとも毒性の強いプルトニウムを燃料とする高速増殖炉と核燃料再処理工場の廃止③省エネルギー、自然エネルギーを中心にしたエネルギー政策への転換、である。
  また、9月19日に東京・明治公園で、5万人規模の脱原発の全国集会が開催される。部落解放同盟としても多くの心ある人びとと連帯して、これらの運動にとーりくむ決意であり、全国各地でのとりくみも強く訴えたい。

 8月6日、9日は、広島と長崎に原爆が投下された日だ。原水禁大会への参加をはじめ、反核、平和への誓いを新たにし、平和運動を強化していきたい。
  核兵器と原発は、原料が同じであり、きわめて関連性が高い。そのため、原発で使用の核物質の軍事転用を防止するため、IAEA(国際原子力機関)による監視がおこなわれている。しかし、軍事転用の疑いなどで国際紛争もたえない。
  また原発が軍事的攻撃目標になる可能性やテロの危険性も否定しきれない。
  さらに、核兵器や原発に使用するウランの採掘の段階や、核実験でも多くのヒバクシャが生み出されている。核兵器の製造過程はもとより、原発で働く労働者の被曝の問題もある。放射能漏れ事故の続発、そして、核物質や放射能に汚染された廃棄物をどう処理するのかも未解決の大問題だ。
  核兵器と原発の問題は、私たちが将来どんな社会を望むのかという問題だ。このさい、核兵器廃絶と脱原発の大きな流れを国際的にも国内でもっくりだしていこう。そのために、地域から一人ひとりが行動を起こしていこう。


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