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部落問題資料室
NEWS & 主張
『広島人権白書』――広島の差別と人権を考える――を発行
国、県の人権政策充実を求めて

「解放新聞」(2011.11.21-2544)

 【広島支局】広島県内の部落差別、被爆者や子どもの人権など14項目の人権課題を、26人の執筆者でまとめた『広島人権白書』を9月4日に発行した。
作成委が記者会見14項目の人権課題
  この『広島人権白書』は、1969年からとりくんできた部落解放・人権政策の確立を求める広島県民集会の実行委員会が昨年の県民集会後、「人権白書を民間で作成し、藤田県政のもとで後退した人権行政を検証しよう」と、今年2月に広島人権白書作成委員会(川崎卓志・委員長)を立ちあげ、「県の人権政策転換を求めて、県内での個別人権課題について、差別と人権侵害のあらわれ方に共通する社会的排除の実態をつぶさに明らかにする方向でとりくんできたもの。
  9月9日、県政記者クラブで記者会見し、県など関係団体に配布した。会見で川崎卓志・県連委員長は、「深刻な人権課題を、ややもすれば、「差別しないよう。いたわりの心をもち」といった、啓発で済ませるきらいがある。差別の実態、現実を変える施策を国・県・市町に求めていきたい。県民のみなさんには、こんな人権課題があるということを知っていただきたい」と訴えた。
  『人権白書』の最後「まとめにかえて」では(財)ヒロシマ人権財団の小森龍邦・理事長(県連顧問)が、「部落差別のような、差別と分裂支配によって人びとを疎外状況に追い込み、権力行使をほしいままにするうことは、断じて許されない。この『人権白書』で分析されている悲惨な人権状況は、部落差別を温存助長しようとする政治権力の狙うところが一致しているから、その手口が共通している」と指摘している。
県、県教委に申し入れ県民於朱九六実行委が
  【広島支局】部落解放・人権政策の確立を求める県民集会実行委員会(川崎卓志・委員長)が10月14日、県と県教育委員会にたいし、部落解放・人権政策の確立を求める申し入れをおこなった。
  申し入れ内容は、①『広島人権白書』で明らかになった課題を受けとめ行政施策を実施すること②部落の生活実能と県民意識調査の実施③戸籍謄本などの不正取得を防止するための必要な措置をとることなど13項目(内、教育委員会は5項目)。
  抹香尊文・環境県民局長は「電子版の地名総鑑が出回ることなどは許されないことで、申し入れの内容をよく勉強したい」とのべた。

 『広島人権白書』は、「被爆地ヒロシマにあって、平和と人権は県民にとって最も大切にしてきたもの」。しかし「部落差別は、環境、就労、教育、結婚などさまざまな形で現れるが、広島県も国に追従して部落問題解決の責務を放棄している」。また「原子爆弾は、その子どもや孫まで健康不安や差別を残してきたが、原爆被爆2世は1994年に制定の現行「被爆者援護法」から除外されている」と。
  内容(14項目)は、①非正規・派遣労働者の実態と課題②県の女性の現状③障害者の人権の現状と課題④子どもの人権(いじめ、不登校、虐待、就学援助)⑤子どもの人権(定員内不合格、中途退学、障害児・者の現状、小規模高等の統廃合)⑥部落差別の現状と課題⑦在日コリアン差別の現状と課題⑧外国籍住民の人権⑨ホームレスの現状と課題⑩被爆者の現状と課題⑪被爆2世の現状と課題⑫大久野島毒ガス問題の現状と課題⑬地域医療を守るための今後の取り組みを考える⑭難病医療の現状と課題。
  白書はA4判で118ページ。頒価500円。


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