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部落問題資料室
NEWS & 主張

 

プライム事件の徹底的な真相究明を

「解放新聞」(2012.0123-2553)

 戸籍等の不正取得防止のためのとりくみがすすめられている最中の昨年11月、東京都内のプライム総合法務事務所に関連した司法書士や元弁護士をはじめ5人が戸籍謄本等の不正取得で愛知県警に逮捕された。報道によれば、プライム社は仲介者を通じて全国各地の探偵社や調査会社から依頼を受けて不正取得を繰り返し、その数は1万件をこえている。この事件でプライム社は、職務上請求書を大量に偽造して戸籍などを不正取得しており、マスコミは背後に大がかりな不正グループが存在している可能性を報じている。

 戸籍の不正取得については、2005年に兵庫県で起きた行政書士による大量不正取得が発覚していらい、毎年各地で事件が摘発されてきた。このため国は、2006年9月に「探偵業の業務の適正化に関する法律」を制定するとともに、2007年には戸籍法を改正し、罰則強化や請求時の本人確認証提示などの防止策を打ち出したが、不正行為はいっこうにあとをたたない。最近では、不正防止のために事前登録型の本人通知制度を導入する自治体が増えているが、それを無視して不正行為が続けられており、昨年だけでも3人の司法書士が業務禁止などの処分を受けている。
  背景には、いまだに結婚や就職のときに身元調査をおこない、出身地や国籍などで相手を判断する差別意識や悪しき社会的慣習が存在しており、その根は深いといわざるを得ない。

 ところで、今回のプライム事件では、客から身元調査の依頼を受ける複数の探偵社と、それを取りつぐ複数の仲介者の存在が、じょじょに明らかになっている。また、最終的に依頼を集約してプライム社に戸籍の取得を取りついだのは、4年前の三重県伊勢市行政書士不正取得事件で摘発された横浜市のプライベート・リサーチ社であることもわかっている。プライベート社は、行政指導をあざ笑うかのように、再びしかもより大がかりな不正取得を繰り返していたのだ。
  まず急がれるのが、いったい誰が、裏のルートを使って身元調査をしているのか、またどのような調査会社がかかわっているのか、その全貌を明らかにすることだ。そのため各都府県連は、当面の行動として、「プライム総合法務事務所・司法書士・佐藤隆」名で請求され、交付した戸籍・住民票の情報開示を市町村に求めてほしい。
  そのうえで、身元調査が何のためにおこなわれているのか、実態解明するよう政府関係機関や警察に強く迫っていくことが重要だ。背景に存在する差別的身元調査の実態を明らかにすることは、「同和行政は終了した」という政府や自治体の姿勢をただすために重要だ。プライム事件は、部落地名総鑑事件に匹敵する深刻な身元調査事件である。


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