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部落問題資料室
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「人権委員会設置法案」の実現に向けて今国会での闘いに総力をあげよう

「解放新聞」(2012.08.13-2580)

 国会は、9月8日まで、97日間延長された。われわれは、6月に「人権委員会設置法案」実現に向けた緊急集会として開催した、部落解放・人権政策確立要求第1次中央集会に続いて、7月18日にも第2次中央集会と要請行動にとりくみ、政府・与党を中心に、与野党国会議員などに、法案の閣議決定-国会上程と法案審議の促進を求めて、集中した闘いをすすめてきた。
  政府は、「社会保障と税の一体改革関連法案(消費増税法案)」の成立を最優先として国会会期を延長した。われわれは、この国会会期延長をふまえ、「民主党政権のもとで、人権侵害救済制度の確立をはかる」という基本方針をあらためて確認し、連続した中央集会の開催、中央執行部の常駐体制の確立など、今国会での「人権委員会設置法案」の実現に向けたとりくみに全力をあげてきた。
  この間の政府・与党への要請行動でも明らかなように、法案の閣議決定に向けては、政府部内の調整があるのみで、最終段階を迎えている。国会会期までの限られた日程のなかで、「人権委員会設置法案」の実現に向けて総力をあげた闘いをすすめよう。

 われわれが政権交代に求めてきたのは、人権・平和・環境を軸にした政治の実現である。われわれは、長年の「部落解放基本法」制定の闘いのなかから、「人権教育・啓発推進法」を成立させてきた。また、この間の「人権侵害救済法」の制定に向けたとりくみも、まさに人権の法制度の確立をめざしたものである。
  民主党は、政権交代以降、「人権侵害救済機関検討プロジェクトチーム」(PT)を設置し、昨年6月に「人権侵害救済法中間とりまとめ」をまとめた。政府も、12月に「人権委員会設置等に関する検討中の法案概要」、本年2月に「人権委員会設置法案(仮称)の骨子(案)」を示し、現在、法案はできたものの、いまだにこの法案が閣議決定されていない。政府・与党内には、設置される人権委員会が独立性の強い3条委員会であることを理由に反対している閣僚がいるといわれている。しかし、かつて民主党が検討してきた法案でも、政権交代後のとりまとめでも、人権委員会の独立性を担保するとして3条委員会での設置を決めている。人権侵害被害救済では、この人権委員会の独立性こそが重要なのである。
  こうした反対論への配慮から閣議決定がされないとしたら、野田政権は、まさに政権交代の理念を喪失したものといわざるをえない。われわれは、1日も早く、法案の閣議決定をおこなうことを強く求める。

 この間、東京や福岡の行動に続いて、栃木、埼玉、京都、大阪、佐賀などが独白に国会行動にとりくんだ。それぞれ政府・与党をはじめ、地元選出の国会議員への要請行動を中心に、集中した闘いがすすめられている。
  政府が閣議決定をすれば、法案審議については、超党派で構成されている「21世紀人権政策懇話会」(会長 中野寛成・衆議院議員)を軸にとりくみがすすめられることになる。中央集会でのあいさつでも、公明、社民、国民新党、みんなの党などはおおむね法案に賛意を示しており、自民党の一部や「たちあがれ日本」など、反人権派による頑迷な反対、妨害があっても、法案は必ずや実現できる。
  残された時間は少ない。人権の法制度の確立、とりわけ人権侵害救済制度の取り扱いが、与野党の駆け引きや稚拙な反対論に左右されることがあってはならない。われわれのこれまでの闘いからすれば、今回の「法案」は、不十分な点も多い。しかし、人権擁護推進審議会が、人権侵害救済制度の確立の必要性を指摘してから10年以上が経過している。このような立法不作為を許してはならないのは当然だ。
  民主党政権のもとで法案を実現するという、これまでの闘いの基調、そして人権・平和・環境を軸にした政治の実現という、政権交代の意義をあらためて確認し、「人権委員会設置法案」の実現に向けた闘いを全力ですすめよう。


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