pagetop
部落問題資料室
NEWS & 主張
主張

 

部落解放―人間解放への文化活動を活性化し、第39回部落解放文学賞へ応募しよう

「解放新聞」(2012.09.24-2586)

 部落解放運動にとって文化活動はきわめて重要なとりくみである。私たちの先人たちは、90年前に京都岡崎公会堂で全国水平社創立大会をおこない、部落解放-人間解放への闘いに立ちあがった。いらい、その精神と運動が私たちの世代へと引き継がれてきている。そして、そのなかで一貫して求めてきたのが「人間の尊厳」である。私たちの先人たちは、厳しい現実のなかから生活を見つめ、さまざまな知恵と手段を生み出してきた。また、多くの技能や芸能などを創造し継承してきた。そうしたすべてが差別と向き合い「人間の尊厳」を問いかける営みであり、「生きること」を基盤とした私たちの「文化」である。

 いま、全国各地のきょうだいの努力によって伝えられ、継承されている伝統芸や伝統技能、祭りがいきいきと息づいている。しかし一方では、継承されず消えようとしている伝統芸能や技能もある。私たちの文化は、必ずしも「喜」だけではなく「悲」「苦」「憤」の歴史でもあるが、それらのすべてが私たちの先人や私たち自身が生きてきた「証」である。共有し、向き合い、伝えることが、いまを生きる世代の使命であり、「よき日」をめざす道筋である。
  もうひとつ大事なとりくみとして「識字運動」がある。差別によって学ぶ機会を奪われてきた多くのきょうだいが、みずからの力で奪われた文字を取り返すために識字学級で学んでいる。学ぶことを通じて、みずからの生い立ちをみつめ、思いを伝えるという人間解放への行動である。そして、そのなかから多くの作品が生み出され、「部落解放文学賞」によせられている。
  「部落解放文学賞」は、部落解放―人間解放に向けた文化の創造をめざして創設され、これまで多くの人びとの支えのなかで育てられ、前年の第38回には、全国各地から識字部門や詩部門をはじめ各部門に134篇の作品がよせられた。
  いま、私たちのまわりで氾濫しているさまざまな事象をみるとき、人間の息吹が希薄になり、「無縁社会」という状況すら生み出されている。
  私たちの運動は、人間の尊厳を基軸に「人と人がつながり、いきいきと生活する社会」の構築をめざすものであり、そのためにも「人間解放の文化」が大きな役割を果たすと確信する。

 全国水平社90年を機に、伝統芸能・技能の継承、識字運動や文学活動のいっそうの発展、そして新たな文化活動の創造を柱に、全国各地でのこれまで以上のとりくみが求められる。
  そして、そうしたとりくみの集約の機会である「第39回部落解放文学賞」に全国各地から多くの作品が応募されることを期待したい。


「解放新聞」購読の申し込み先
解放新聞社 大阪市港区波除4丁目1-37 TEL 06-6581-8516/FAX 06-6581-8517
定 価:1部 8頁 115円/特別号(年1回 12頁 180円)
年ぎめ:1部(月3回発行)4320円(含特別号/送料別)
送 料: 年 1554円(1部購読の場合)