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部落問題資料室
NEWS & 主張
あとをたたない差別問い合わせ

「解放新聞」(2012.10.22-2590)

 「被差別部落かどうか教えてほしい」。結婚や住居移転・購入などにともなう「差別問い合わせ事件」があとをたたない。今年2、9月に香川県内の2市でおきた差別問い合わせ事件の報告と、埼玉県連が県内の差別問い合わせ事件を実態調査した結果を掲載する。

結婚や住居移転で
香川県内の2市で発生
  【香川支局】丸亀市役所人権課に9月18日、市内で1人暮らしを考えているという女性から、市内の被差別部落を問い合わせる電話があった。
  丸亀市人権課によると、30代から40代と思われる女性から「丸亀市内に3つの部落があると聞いた。どこにあるのか場所を教えてもらえないか」と、被差別部落がどこにあるのか知りたいという内容の電話だった。職員が「そのような質問には答えることができない。このような問い合わせ自体が差別につながる」と忌避意識を指摘すると、「教えてもらえないのですね。では、どこで聞いたら分かるのか教えてほしい」と続けたため、「行政では、同和問題の解決をめざしてとりくみをおこなっている。差別を誘発したり助長する問い合わせに応じるところはない」と告げた。教えてもらえないと分かると、「教えてもらえないのですね。分かりました」と女性は電話を切った。
  同市は事件後、県連と丸亀市連絡協議会、県人権・同和政策課へ報告し、差別の現実を知ってもらうために庁内メールで事象発生を周知した。
  もう1件は、8月20日におこなった東かがわ市との「網の目」意見交換会で、今年2月、県外に住む男性から娘の結婚相手の出身を知ろうと「同和地区かどうか教えてほしい」と、総務課に電話での問い合わせがあり、人権推進室で対応したことが判明した。
  この問い合わせは、正しい知識がないため、「家意識」あるいは「世間体」にとらわれた「同和問題にかかわりたくない」という忌避意識からおこった「差別事象」だと同市は分析した。また、同市では、今後も問い合わせの電話があるかもしれないので、課(室)長、施設長を中心に課内研修として話し合うよう「事象概要」を全課に報告した。

「問い合わせ」4市9件
県連が実態調査
  【埼玉支局】「土地購入や結婚相手で4市9件」。県連は、調査していた「電話や役所の窓口訪問による同和地区問い合わせ事件」の調査結果を9月15日に発表した。
  調査の結果は、2003年2月から2011年6月にかけて、ふじみ野市、日高市、川越市、上尾市の4市で9件の問い合わせがあり、そのうち6件が電話で、3件が直接市役所を訪れて聞くものだった。
  今回の調査は、土地差別調査事件が表面化したことをふまえて県連が、8月におこなった第1次市町村交渉で問い合わせの実態を報告するよう市町村に要請し、市町村がこれに回答したもの。
  問い合わせでは、「土地を購入しようと思っているが、市内のどこが同和地区か教えてほしい」という土地購入に関する問い合わせが3件と一番多く、ついで「引っ越しするのだが、どこが同和地区か教えてほしい」という引っ越しに関連した問い合わせが2件、理由をいわずにただ同和地区を教えてほしいという問い合わせが3件あった。また、「見合い相手が同和地区かどうかを知りたいので、どこが同和地区か教えてほしい」という結婚に関する問い合わせも1件あった。
  県連の片岡明幸・委員長は、「問い合わせの背景には、同和地区に住みたくないという土地差別や同和地区出身者とは結婚したくないという差別意識が存在している。同和地区や出身者を調べて避けるという点で、プライム事件に代表される身元調査と同根の事件だ。窓口での対応が問われる事件として重要視したい」と語った。


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