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部落問題資料室
NEWS & 主張
石川県、富山県で連続行動を展開

「解放新聞」(2012.11.05-2592)

 石川県、富山県と10月22日、金沢市との交渉を23日におこない、人権政策のいっそうの確立に向けて意見交換をおこなった。行動したのは、中央本部から西島財務委員長、池田、安田、高橋の各中執、北陸事務所など10人。

「基本計画」策定へ努力
石川県 12年へても2市だけ

 石川県交渉は金沢市内の庁内会議室でおこない、▽「人権教育・啓発推進法」の具体化として、県民意識調査の実施と基本計画の策定▽民生児童委員の人権・同和問題研修講義内容の検証問題▽金沢市内中学校修学旅行説明会での差別発言事件▽戸籍謄本などの不正取得事件、などがテーマ、石川県からは植村哲・総務部長はじめ22人が出席した。
  意識調査では、施策の効果を検証するためにも専門家をいれたものにするよう求め、県も、ご意見は承知していると応えた。調査も10年ごとが好ましく、来年がそれにあたり準備をすすめていることが報告され、市、町での「基本計画」策定は、法制定から12年をへても2市にとどまっていることから強力なとりくみを要請、県は、しっかりしたメッセージをと文書で要請したが、さらにアプローチを模索し、策定へと働きかけたいと表明した。
  講義内容(同和問題はこわいという印象をうけたというもの)の録音テープによる検証についても重ねて要請し、前回交渉(2011年11月2日)いらいの進捗状況をただした。県は、整理するよう指示したが、その結果がはっきりしていないという現状を報告し、あらためて情報整理にとりくみ、事実を年内にはっきりさせる決意であることを示した。
  中学校差別事件では、修学旅行の説明会での教員による発言であり、しかもその場所にいた他の多くの教員も気づかなかったことから、その背景にある石川県の現状にたいする県の責任が問われていることを指摘した。県は、石川に部落問題があるとの基本認識にたち、教育センターと協議し人権問題全体の講義のなかに事例をおりこむ必要があるとの姿勢をにじませた。
  戸籍不正取得問題で県は、金沢市の6件7通については本人通知をしたと聞いている。「住基」の担当者会議で通知の意味などを伝えていると報告した。
  「伝えている」との報告にとどまった点には、実害までふくめて把握し、指導援助するよう求めた。県は、本人情報の尊重ということからも、県の役割は、実態や制度の共有化をはかることであり、本人通知制度の導入へ金沢市とも協力してとりくむことを表明した。

意識調査の実施を
富山県 10年ごとに検討

 富山県交渉は富山市内の県民会館会議室でおこない、▽「人権教育・啓発推進法」の具体化として県民意識調査の実施と市町村での基本計画策定▽戸籍謄本などの不正取得問題▽富山県結婚相談所の相談業務▽公正採用選考などで意見交換、県からは笹林一樹・生活環境部次長はじめ19人が出席した。
  意識調査で県は、基本的に10年ごとと考えており、近づいてきているので検討していく。総合計画に人権教育・啓発の項目が加わったところが15市町村中9市町と、3市町増え、地道ではあるがすこしずつあゆみがみられると報告。
  しかし、市町村の計画には同和問題の解決にとりくむことがふれられてなく、県の指導性が問われていることを指摘、市町村の連絡協議会で相談しながらすすめていく方向を確認した。
  戸籍不正取得では、同じ請求書番号は1市で、3市で請求があったが何件かはわからない、という実状が明らかになり、実状を把握するよう強く求め、件数などの把握をすることを確認した。また、本人通知制度もなく、「情報は伝えている」という程度にとどまったため、被害の実態を把握するためにも本人通知の議論をすすめるよう求め、指導の必要性を確認しあった。
  結婚相談事業では、「北日本新聞」に、「イマドキ婚活事情」の記事で、相談員が記者に、勤務先、親との同居、収入、家庭の事情などがマッチングの関心として高いとうかがわせる内容の談話をしていることについてただした。富山県では09年から「申込書」を全社協の6項目に改正されてはいるものの、実際の運営についてあわせて確認した。記事について県は、取材時の質問は、「相手のどういうことを重視するのか」であって、記事ではそうなっておらず、結果として残念、6項目以外は収集していないと回答した。
  公正採用選考については、重ねて、「受験報告書」の全票回収を要請し、実状を把握するよう求めた。

本人通知制度を実施
金沢市 プライム事件で6人に

 金沢市交渉は市役所でおこない、▽昨年の市民意識調査の結果と分析▽人権教育・啓発に関する新計画の策定▽市立中学校差別事件▽戸籍謄本などの不正取得問題などで意見交換をおこない、市からは濱田厚史・副市長はじめ9人が出席した。
  意識調査では市が「調査結果からみた課題」を説明し、調査の反省点として、調査票作成時に意見をもらったが十分な時間がとれずいかせなかった。次回はさらに充実したものとしたいとの姿勢を明らかにした。
  結果の分析では、同和問題は市民の関心が比較的低い人権問題群に分類されており、この意識と差別の実態とのギャップを重大な問題ととらえる必要があることを指摘し、具体例として、「日ごろ親しくつきあっている隣近所の人が、なにかのことで、同和地区の人であることがわかった場合、あなたはどうしますか」という設問に、「これまでと同じように、親しくつきあう」が65.7%であるのに、「あなたのお子さんの結婚しようとする相手が同和地区の人であるとわかった場合、あなたはどうしますか」の設問に、「賛成する」は33.9%にとどまっていることなどを示し、関心が低いのは、行政がこれまで「寝た子をおこすな」という姿勢でいた結果であり、施策の転換こそが求められていると強く求めた。
  人権教育・啓発に関する新計画の策定については、32関係団体に素案を示し意見を求めているところであることが報告された。後日、文書で意見を表明するとしたうえで、「同和問題」の項が国の施策しかふれられておらず、金沢市のとりくみの記述がまったくないこと。それが市民の意識の低さとしてあらわれていることも指摘し、具体的な施策の確立を求めた。
  中学校差別事件では、3月26日の糾弾会(2565号既報)をふまえた市教委の統一見解をあらためて示すよう求め、確認した。
  戸籍謄本などの不正取得については、不正が確認された場合は本人に通知する制度を2月から施行していることが報告され、プライム事件では、6人に通知したこと、登録型の本人通知制度があることは承知している、なども示された。


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